第23話 どうしても帰りたいの?

「……お見事。10万トク、差し上げますわ」

影から見ていた蝶子が、パチパチと拍手をした。

「はぁ、はぁ……。死ぬかと思った……」

「でも、なるみ。あなたは今、将軍を救うために『自分の帰還』を忘れて必死になっていたわね。それは、あなたが一番嫌っていた『介護』そのものだったけれど」

蝶子の言葉に、私はハッとした。

トクを稼ぐための仕事じゃない。私はただ、彼に死んでほしくなかった。

あんなに嫌いだった老人の世話を、私は今、自ら進んで行っていたのだ。

「……ねえ、蝶子さん。どうしても帰りたいの。でもそれは、逃げるためじゃなくて、今度はちゃんとおばあちゃんの目を見て、あー、嫌だなぁって言いながら、一緒に笑いたいからなの」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る