第3章 「ジジジバババーン」の掟

第13話 ヒェェー!今度こそ死ぬ⁈

「ジジジバババーン」の朝は、爆音のラジオ体操から始まる。

「ほらほら! 新入りの岩音さん、手足が伸びてないわよ!」

清潔のリン(神様)が、キラキラした笑顔で私の老いた腕をグイグイ引っ張る。

「イタタタ! 脱臼する! 肩が『ゴリッ』って言ったわよ今!」

私の体は現在、88歳の石野八千代。可動域が絶望的に狭い。

隣では、元将軍が「ふんぬー!」と叫びながら、ラジオ体操を真剣な太極拳か何かと勘違いして、異様な殺気を放っている。

「第一体操、終了! 次は朝食の『争奪戦』よ!」

リンがそう叫んだ瞬間、それまでヨボヨボしていた12人の住人たちが、一斉に目つきを変えた。

「どけぇー! 今日の味噌汁はナメコじゃぁぁ!」

「おのこ、女子(おなご)に道を譲らんかぁ!」

凄まじい車椅子のデッドヒート。杖を振り回しての進路妨害。

「ちょっとみんな! 危ないってば!」

私が止める間もなく、女好きの道楽者(92歳)が、私の尻を「ナイス・ヒップ!」と言いながら触って追い抜いていった。

「セクハラー! 誰がこの枯れ果てた尻を触って喜ぶのよ! 訴えてやるわ、現世の労働基準法で!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る