第11話 紅の蝶

「……ふぅ。お見事ね」

騒ぎが収まった深夜。蝶子が私の元へ現れた。

「相手の世界を否定せず、受け入れる。介護の基本だけど、それをこの状況でやれる人は少ないわ」

「……おばあちゃんにも、こうしてあげれば良かった」

私は老婆の手を見つめながら呟いた。

「私はいつも『そんなの嘘だよ』『いないよ』って、おばあちゃんの世界を否定してばかりだった。彼女がどれほど心細かったか、考えもしなかった」

蝶子は私の肩に、真っ赤な蝶を止まらせた。

「その気づき、1万トク以上の価値があるわ。……さて、なるみ。そろそろ、この世界の『核心』を見せてあげる」

彼女が指差した先には、屋敷の最上階にある開かずの間があった。

「あそこには、あなたが一番見たくない……そして、一番見たいものが隠されているわ」

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