第10話 教えてください

「わ、私にどうしろって言うのよ!」

私はパニックになりながら、神様たちを見た。

だが、ゴウもサクラもシュンも、今は戦う気配がない。彼らはただ、怯える住人たちを優しく抱きしめ、背中をさすっているだけだ。

「力では解決できないの。彼らの『不安』がどこから来ているのか、寄り添って聞き出すしかないわ」

微笑のサクラが、穏やかに言った。

私は、ガタガタと震える「元将軍」の元へ駆け寄った。

「将軍さん! 何が怖いの? 私に教えて!」

「……敵が……。真っ黒な敵が、俺の城を囲んでいる……。旗印が見えん、どこから攻めてくる……!」

「敵なんていないわ! ここは安全なの!」

そう叫びかけて、私は口を閉ざした。

それではダメだ。介護していた時の私と同じだ。否定しても、彼の世界では「敵」は現実にそこにいるのだ。

私は深呼吸をして、彼の目を見つめた。

「……将軍。私が、斥候(せっこう)として見てきました。敵は……退却しました。今はもう、味方の援軍が到着しています」

「……なに? まことか?」

「はい。ですから、今はゆっくり休んでください。私が不寝番を務めます」

私の言葉に、将軍の瞳に宿っていた狂気が、少しだけ和らいだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る