星を辿って
「あ! 一番星!」
一番星。夜の始まりを告げる星。
私は薄暗くなっていく空でそれを見つけるのが好きだ。
「真奈は一番星を見つけるのが本当に早いな〜」
「えへへ。じゃあ、お父さんは二番星を見つけてよ!」
私がそう言うと、父はよーしと一生懸命星を探していた。
それが父との最後の思い出。
その帰り、私たちは交通事故に遭い、突っ込んできたトラックに父は私を守って轢かれてしまった。即死だったそうだ。
***
十年後、私は高校一年生になった。その日は授業が終わるのが遅かったこともあり、帰る時には外が薄暗くなっていた。
「うわ〜、暗くなっちゃったよ……。おばさんに怒られちゃうかな……」
少し早歩きで歩き出し、ふと上を見ると
「あ」
そこには一つだけキラキラと眩い星が輝いていて……。
「どうしてもやめられないな……」
本当はやめる必要はないのかもしれない。父のことを忘れることなんてできないのだから。
でも、一番星を見つけるたびに、あの輝く光を見るたびに、父との思い出がよみがえってとても苦しい。
「苦しい。苦しいのだけど、やめられない。どうして?」
そんなことを考えていると、微妙だが、星が円を描いたかのように見えた。最初は目がぼやけているのだと思ったが、どうやらそうではないらしい。
星の動きは段々大きくなっていく。そのうち南の方に移動し始めた。動きはあまり速くない。
私はいつの間にか走り出していた。
なぜ走っているか、とか、帰りが遅くなるとおばさんに怒られる、とか、頭に浮かんできたが、すぐに消えていった。そんなことはどうでもよかった。
私は確信していたから。あれは、あの星は──
「お父さんーー!!」
私の思いが通じたのか、星は地上に降りてきた。そこは父との思い出の場所だった。星の光で周りが明るく照らされている。
息を切らしながら星が降りた場所に行くと、光る人がいた。光って顔が見えなかったが、父の優しい笑顔が見えた気がした。
やがて光は分散して消えてしまった。光に照らされていた周りが暗くなる。星が瞬いている。
父は何も言わなかったが、私にはなぜだかこう言った気がした。
「好きなものを貫け──」
と。
私の中に今まで忘れていた気持ちが溢れ出す。
「──ああ、私、星が好きなんだ」
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