第3話
3章:花太郎
僕は要領が悪い。
色んな事が上手くできないから、一緒にいる人を巻き添えにして迷惑をかける。
だから、みんな僕を厄介者として敵視する。
クズ、消えろ、ボケ。
靴に丸めた紙が押し込まれていた。
内容が幼稚な分だけ余計に僕を削る。
帰り道で下野が待ってた。
体育授業でしちゃったミスに文句を言われて、何発か殴られた。
そしたら人気者の康介が通りかかって、それを止めてくれた。
僕は弱い自分が、不出来な自分が悔しくて、礼も言わずに逃げ出した。
ベッドに倒れ込んだけど、少しも安らげない。
「上手くやれない自業自得だ」そう言い聞かせるから抜け道が無くなって、世界がもっと重く沈む。
僕はそれに気付いてなかった。
「死」という唯一に思える逃げ道。
死ぬのは怖い。
でも死なないと決められないくらい、終わらせたかった。
結局、僕は来週まで様子を見ることにした。
今日は先送りにできたけど、来週はすぐ来てしまう。
だから苦しまない方法を探しとこうと、僕はスマホを手に取った。
近くの町で同い年の少年が自殺したってニュースがあった。
いじめを告発する遺書を残して自宅の裏庭で首を吊ってたそうだ。
「バカじゃないの」
出てきた言葉に自分でも驚いた。
騙して飲み込んできた不条理を突きつけられることで、無意識に気付いてしまったんだと思う。
怒りが自覚より早く込み上げてきた。
なんで死ななきゃいけないんだ。
なんで僕たちが未来を捨てなきゃいけないんだ。
なんで奪われなきゃいけないんだ。
それに仕返しだって、遺書で告発じゃ他人任せで結果の確認もできないじゃないか。
どれもこれもふざけるな。
こんなの、やっぱり嫌だ。
絶対に認めない。
だったら、どうせ自分を殺すくらいなら、いっそこの手で
皆殺しにしてやればいい。
そう思った瞬間に僕の世界は八方塞がりから解放された。
選択肢がある。
それだけで何でもできそうな自由を感じた。
ニュースの彼が僕の代わりに死んでくれたんだと思った。
僕は心の底からありがとうを言った。
そしたら、ちょっと寂しくなった。
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欠けた妥当 –other side of Walker’s Dream 歩上花太郎 @HanataroHonoue
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