第12話 すれ違いのかたち

秋が深まるにつれて、二人の生活は少しずつ忙しくなっていった。

 受験、部活、将来の話。

 高校三年生という立場が、現実味を帯びてくる。


「最近、会えてないね」


 帰り道、薫がぽつりと言った。


「ごめん。模試続いてて」


「うん、分かってる」


 分かっている、と言いながらも、薫の声は少しだけ寂しそうだった。


 以前なら、放課後に会えば自然と埋まっていた距離が、

 忙しさの中で、少しずつ広がっている気がした。


 蓮は、自分の余裕のなさを自覚していた。

 薫の存在に甘えて、言葉を省いてしまっている。


「……ちゃんと、話そう」


 ある日、蓮はそう切り出した。


「今、俺、余裕なくてさ。でも……薫を後回しにしたいわけじゃない」


 薫は少し驚いた顔をして、それから、静かにうなずいた。


「私も、不安になってただけ。

 蓮がいなくなる気がして」


 その言葉に、胸が締めつけられる。


「いなくならない」


 即座に言えたのは、本心だった。


「絶対に」


 すれ違いは、話さなければ広がる。

 向き合えば、少しずつ縮まる。


 二人は、そうやって学んでいった。

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