第8話 天変王子は綿花姫を捕まえる

「さて、ボナデア王国の皆さん?

 欲しかった水をたっぷりと差し上げましたが、お気に召しましたか?」


「あ、貴方はルドラバウル・ベルクナス!

 こ、これは貴方の仕業なのかっ!?

 貴方は天候をも操れるのかっ!?」


「おや、これはボナデア王族であり、総大将のファウナ・ボナデア殿ではありませんか?


 それは今となってはもう、どちらでも良いじゃありませんか? 大雨が降って川が氾濫して貴国の軍は流され、残るは千騎足らず。


 対して我が軍は総勢四万は優におります。


 逃げるにしてもこの川の流れの速さでは渡河なんて無謀でしょう?


 勿論、玉砕覚悟で特攻するのも良いですが、少なくなった貴女の部下を無意味に死なせる事になるだけです。


 投降をお奨めしますよ?」


「貴様ァ! 我等は貴様等に降る事は無い!  

 この命果てるまで暴れてくれるわッ!」


「止めておけっ! 彼の言う通りだ。

 投降する。 但し、戦時中の正当な捕虜の扱いを求める」


「勿論、我が国は法と秩序に重きをおいておりますので無体な事はいたしません。

 

 捕縛せよ!」


――――


「久し振りだなファナ、元気そうで何よりだ」


「ええ、虜囚の身で無かったら、もっと素直に喜べたのに。

 それでも会えて嬉しいわ、バウル」


「あのー、お二人さん?

 一応これ、捕虜の尋問なんですけど?

 何甘い空気を発してやがるですか!?


 私に対しての当て付けですか?」


「バウル、この娘は?」


「俺の副官のルーナだ。

 普段は頭が大分可笑しいヤツだが、仕事になると超優秀だから泣く泣く使ってる」


「あら、可愛らしい娘じゃないの?

 正室は譲れないけど、側室ならいいよ?」


本気マジすか、姉さん!

 一生付いていきます! 押忍っ!」


「確かに少し、いや大分可笑しいわね?

 早まったかしら……?」


「だろ?


 てか、その前に俺の意思を確認しろや!」


「まあまあ、ご両人。

 イチャイチャの時間は後でしっぽり作りますんで、先にこの後の展開の指示をお願いします」


「そうだな、先に伝えた通りボナデア王都を目指すぞ!

 軍の再編を急げ!」


「やはり貴方ならそうするよね?」


「お前には済まないが、これは外せない。

 ボナデア王国を終わらせない限り争いの連鎖は止められない。


 それに民達にとっても悪い話では無いと思うぞ?」


「そうで無いと、いくらクソ親父と愚兄とは言え、身内が死ぬのを受け入れられないよ」


「そうだな、まあ何とかなるさ」

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