第5話 綿花姫は轟音で目覚める
夜半頃、物凄い音と揺れで目が覚めた。
私が眠っている棟とその周辺以外の摂取した要塞が無惨にも崩れた。
要塞は正に阿鼻叫喚の地獄と化している。
幸い大半が私が眠っている周辺の棟で休んでいたため、全体の半数程が犠牲になっただけで済んだけど…。
崩れた要塞から兵達を救助する必要もあり、四日程この地に止まる事になってしまった。
懸命の救助をしたものの、崩れた要塞の下敷きになって多くの死傷者を出してしまった……。
冷酷かもしれないが、死んだ兵の事は良い。
最悪、敵を滅ぼしてから、帰りに回収すれば良いから。
問題は重傷者よね。
彼等はもう戦え無いだけでは無く、ここに放置する訳にも行かない。
真面に動ける者が運ぶ必要があるから、全体の六割が無事か軽傷で済んだのに、更に兵を振り分けて国に戻す事で兵が更に減ってしまった。
仕方が無いので軽傷者を中心に重傷者と死者を国に戻す様に指示を出した。
唯一良かった事は、全体の兵士数が減って糧秣にゆとりが出来た事ね。
特に飼葉は手に入りそうで手に入らない事が多いから、それについては良かったと思うしかない。
彼方も要塞での戦いで多くの死傷者が出ているから、此方が当初の半分弱だとしても、まだ此方の方が兵数は上だし、クソ親父と愚兄からは必ず隣国を占領して来いと言われている。
なら自分でやってよ!
――――
兵を再編して王都に向かって進軍する。
途中に摂取する為に立ち寄った村には人も物も全く無い状態だった。
学園で学んだ焦土戦術に近い。
学園で学んだ焦土戦術は村も焼き払って全ての物質を無に帰すか、物質だけ引き払い、敵に民の食糧等を負担させ、敵の物資に負担を掛ける物だった筈。
村を焼かないのは私達が占領後の事を考えて村を焼き払う事はしないと言う予測と取り返す自信があるからだ。
更に大きめの街にも人は全くおらず、おそらく物資も無いのであろう。
厳密には民家等の鍵を壊して回れば、そこに隠しているのかもしれないけど、征服した後に兵が物資を強奪していたなんて事が知られたら、民からの信頼は得られなくなってしまうので、街にも入らない事にした。
下手に街に入って兵が暴走でもして火を付けたり、家屋を破壊して強奪を働く危険を犯してまで街に入らなくても、幸い物資は兵が減ったせいで十分な量があるからね。
それにしても彼の考えが全く読めない。
ここまですると言う事は彼の猪姉ではなくて、彼が指揮を執っている事は間違い無い。
でも、今までの要塞での防衛戦も中途半端な焦土戦術も彼らしくない。
唯一彼らしいのはどうやってしたかは解らないけど、要塞を崩して多くの兵を屠った事ね。
それだって私がいる棟は崩していない。
いっそ全部崩してしまえば私達を皆殺しに出来た筈なのに。
やっぱり中途半端。
心に暗い雲が立ち込めて不安が募る。
ふと空を見上げると、今の私の心と同じ様に暗く厚い雲が周囲を覆っていた。
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