第4話 綿花姫は天変王子の策略に戸惑う

「姫殿下、現在我が軍は敵国境要塞の強い抵抗を受け、攻めあぐねております。

 しかし、敵もそろそろ限界でしょう。

 後三日もあれば要塞を制圧し、敵国内に侵攻出来ると思われます!」


「そう、此方の被害は?」


「重軽傷者はそれなりに出ておりますが、幸い死者は軽微です。

 これなら敵国内での行軍にも耐えられると考えます!」


「そう、解ったわ」


 彼なら要塞でただ抗戦に徹するだけと言う策を取る訳が無いんだけど……?


 確か彼には姉が居たわね?

 何でも、人の話を聞かない戦馬鹿とか彼が言っていたわね。


 その猪姉に押し切られたのかしら?


 彼が?


 我が軍はここまで遠征して来た上に、連日連夜要塞を攻め続けて疲労が大分溜まって来ている。


 今夜は要塞攻めはせずに休暇を与える予定になっているけど、彼ならここで夜襲を仕掛けてもおかしく無いよね?


 兵を休ませると共に夜襲の警戒をさせないといけないわね。


 彼が敵軍に居るかは解らないけど、彼を捕えた上に、私が彼と結ばれれば戦後の統治も正統性を得られそうだし、それも良いかな。


 敵王子は捕縛を徹底させよう。


――――


 結局夜襲は無かったな……。


 彼は要塞に居なかったのかな?


「姫殿下!

 敵要塞がもぬけの殻になっています!」


「はい?」


「城壁に旗や人形を設置して昨晩のうちに撤退していた模様です!」


 や、やられた……!


「姫殿下、きっと奴等も我が軍に敵わないと見て、王都で籠城戦をする兵を一兵でも多くする為にこんな事をしたのでしょう。


 ここを抜いたとあらば、敵王都までは大した要害は無いでしょう。

 此方も兵に疲れも溜まっております。

 今日の所はこの要塞を摂取して屋根が付いた所で休ませてやりましょう。


 それに、奴等逃げる事に必死だったらしく、食糧もワインも置いたままにしておりますので、それを兵に振る舞って英気を養うのもいいでしょう。


 何、一日程度ここで休んだ所で奴等が、もうお仕舞いなのは変わりません。

 何卒、兵の為にも休みをお与えください」


「……いいでしょう。

 しかし、呉々も警戒は怠らない様にしなさい」


「はっ」


 彼が居て、こんな大掛かりな策を使って兵を退けておいて、ただ城で籠城するだけ?


 あり得ない。


 彼なら何か仕掛けて来る筈……でも、それが私には解らない。

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