第3話 綿花姫は戦争なんてしたくない
毎年隣国に小競り合い程度を仕掛けているけど、今年は違う。
隣国を併呑する為の派兵だ。
歴代の王が金に目が眩んで愚かにも綿花栽培を推奨した挙げ句に無計画な干拓や灌漑を乱発したせいで我が国は水が乏しい。
水資源豊かな隣国を奪って、農作物は隣国で、綿花は本国で行う事で食糧難を解消したいのは解る。
でも、隣国にも人は住んでいるし、隣国での作付けを増やした程度では我が国の食糧事情は完全に解消するとは思えない。
綿花栽培を減らせば良いのに……。
綿花栽培のせいで水も多く必要だし、土地も痩せて来ているから以前程収穫も出来ていない。
だからまた綿花畑を増やして水を使う。 その綿花だって以前より高値で取引されている訳ではないから、以前の様な利益を得る為に更に綿花畑を増やす……。
馬鹿じゃないの?
毎年戦争を仕掛けるお金で食糧だって買えるだろうし、綿花畑を減らしていって、違う産業を興せば済む事だし。
もし都合良く新たな産業が無くたって、綿花畑を農作物の畑に変えるだけで随分、食糧事情も改善されると思うんだけど……。
父上も兄上も何も考えずに隣国を攻め落とせば何とかなると思っている。
しかも、攻め込むなら自分達で行きなさいよ!
何で私が兵を率いないといけないの?
私が行軍で硬いパンと干し肉を齧っている今この時、彼奴等は暖かい料理と酒に興じているんでしょ?
ぶっ殺してやろうかしら?
しかも、隣国には彼がいるのよ?
帝国の学園で、三年連続主席を涼しい顔で守り通して卒業した化物が。
在学中、結局どの分野でも彼に敵う事が出来なかった私が彼と戦う?
兵が二倍以上、彼方より多いからって楽に勝てる筈が無いと思うよ?
それに私個人としても彼と戦いたくないのに……。
嗚呼、きっと嫌われるよね……そりゃそうだよね、元々
嫌われ無い方がおかしいよね。
学園時代は何気に良い感じだったんだけどなあ。
例えば私が彼の元に嫁いで両国の関係を改善させて、食糧難等を割安で購入させてもらっている間に綿花畑を減らして行くって方法もあったのに、あのクソ親父と愚兄がっ!
いっその事、この兵を王都に差し向けて奴等をぶっ殺して王位を簒奪した上で彼を王配として迎えてしまえば良い気がして来た。
……そうも行かないか。
彼と戦争なんてしたくないなあ。
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