第10話 AI時代に努力はどう変質する?

「努力すれば報われる」


この言葉は、

もう嘘になりつつある。


でも正確に言うなら、

努力そのものが消えるわけじゃない。

努力の「性質」が変わる。



これまでの社会での努力は、

だいたいこう定義されていた。


・長時間やる

・我慢する

・苦しいのを耐える

・他人より多くやる


この努力は、

情報が少なく、

失敗の原因が見えにくい社会では

確かに有効だった。



でもAI社会では、

このタイプの努力は

コスパが悪くなる。


なぜならAIは、

努力の「方向」が間違っていることを

すぐに暴いてしまうからだ。



AIはこう言ってくる。


・それ、向いてない

・成功確率が低い

・同じ時間でも別ルートの方がいい

・その努力、再現性がない


これは冷たい助言じゃない。

統計的な事実だ。



ここで人は二つに分かれる。


① 努力を信仰している人

• 苦しんだ分だけ価値があると思っている

• 報われないと「不公平だ」と怒る

• 方向修正ができない


この人にとってAIは、

努力を否定してくる敵に見える。



② 努力を手段だと理解している人

• うまくいかないならやめる

• 成功確率が高い方へ移る

• 苦しさを評価基準にしない


この人にとってAIは、

無駄を減らしてくれる味方になる。



AI時代の努力は、

「量」ではなく

**「一致度」**で評価される。


・自分の性質と合っているか

・環境と噛み合っているか

・続けても壊れないか


この3つが揃わない努力は、

いくら積んでも価値が出にくい。



ここで、

これまでの哲学が全部つながる。

• エピクロスは「欲を減らせ」と言った

• スピノザは「自分を理解せよ」と言った

• 決定論は「向き不向きは必然だ」と言った


AIはそれを、

努力の前提条件にした。



だからAI時代の努力は、

とても地味になる。


・短時間

・低負荷

・継続可能

・結果がすぐ見える


ヒロイックじゃない。

物語にもなりにくい。


でも、

壊れない。



逆に、

AI時代に一番危険なのは

「自分を信じすぎる努力」だ。


夢を追え。

限界を決めるな。

やればできる。


これらは、

情報が乏しかった時代の

自己暗示としては有効だった。


でも今は、

データの方が正確だ。



ここで誤解しないでほしい。


AI時代の努力は、

「何もしないこと」ではない。


むしろ逆だ。


無理をしないために、

かなり意識的に選ぶ必要がある。



努力とは、

自分を削る行為ではなくなる。


自分を壊さずに、

現実と一致させる作業になる。


だから、

生きてるだけでハッピーな人は強い。


彼らは、

努力を人生の証明に使わない。



AI社会では、

努力はもはや美徳じゃない。


調整能力だ。


・やる

・やらない

・やめる

・ずらす


これを淡々と選べる人が、

一番遠くまで行く。



努力が報われない時代ではない。


間違った努力が、

すぐに露呈する時代だ。


それを受け入れられた人から、

未来は静かに楽になる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る