第2話 AI技術は2倍ではなく、2乗で進む


多くの人は、未来を「今の延長線」で考えてしまう。


今年より少し便利。

給料は少し上がるか下がるか。

社会は、まあ似たような感じで続く。


でもそれは、

技術の進み方を根本的に誤解している。



人類の技術進化は、ずっと直線じゃなかった。


・火を使い始めたとき

・文字を持ったとき

・印刷技術が生まれたとき

・インターネットが普及したとき


どれも、「少し便利」では終わっていない。

社会構造そのものを壊してきた。


AIも同じだ。


しかも今回は、

過去よりずっと速い。



技術は2倍で進むんじゃない。

2乗で進む。


1が2になるのではなく、

1が4になり、16になり、256になる。


しかも人間は、

指数関数を直感的に理解できない。


だから、

「まだ大丈夫」

「本格的なのは先の話」

と感じているうちに、

前提がごっそり変わる。



AIが本当に変えるのは、

仕事よりも、もっと根っこの部分だ。


・判断

・管理

・予測

・最適化


これまで

「人がやるしかなかったこと」が、

静かに置き換わっていく。


福祉も同じだ。


困ってから助けるのではなく、

困りそうな人を先に見つける。


努力して証明するのではなく、

データで状態が把握される。


生きることが、申請や根性から解放されていく。



ここで重要なのは、

AIが「優しい」かどうかじゃない。


安いから、導入される。


・ミスが少ない

・感情に左右されない

・人件費がいらない


だから結果的に、

人は助かる。


情けや善意ではなく、

合理性の副産物として福祉が厚くなる。



未来が不安なのは、

技術が怖いからじゃない。


技術が進む途中にいるからだ。


橋を渡っている最中は怖い。

でも渡り切れば、

そこはただの地面になる。


AIも同じだ。



だからこれからは、

「強い人」より

「折れない人」でもなく、


不安を最小化できる人が生きやすくなる。


・期待しすぎない

・比較しない

・今日を過剰に悪くしない


未来に希望を持て、とは言わない。

希望は裏切る。


でも、

未来がそこまで怖くなくなるとは言える。



AIが進むほど、

人生はドラマチックじゃなくなる。


代わりに、

安定して、退屈で、

わりと安全になる。


それを

「つまらない」と感じる人もいる。


でも僕は思う。


不安がない世界は、退屈なくらいでちょうどいい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る