第6話






 当初、この人たちと関わり合うつもりは、全く微塵みじんも、これっぽっちも

 想定していなかったのだが、…。





 その頃すこし、肌が弱っていた私を、モノ珍しく思ったのだろう、

 シルバーブルーの髪の彼が、

 なぜか。




 ある時から私の意志関係なく、私専門の皮膚科主治医になる運び。となってしまったのである。





 いったい何がきっかけか、

 それとも、合縁奇縁あいえんきえんと言われる類いのモノか。


 人生とは、私が思うよりも珍事ちんじに溢れた

 世界なのかもしれない。





 ・・・・・いや。




 正直なところ、彼らと会ったばかりの記憶がうろ覚えで、


 どうやって話したかも、出逢ったのかも

 実は定かでないと言うのが、実際のオチなのだけれども。





 そんな事を口走った暁には、

 (特に)髪散らかし男のほうから悪態の弾丸を、躊躇なく

 浴びせられることだろうから。




 それは

 さすがに避けたい。





 ────…と、

 そこまで頭で独白していたところで。





 そう言えばお互いに、名前を知らず、これまで会っていたのではないか?という事態に、

 ハタ、と気付く。





 何だっけ、私この人たちに名前名乗ったっけ?

 この人たちは多分、自己紹介(自己主張の間違いである)をしてくれた、

 気はする。




 多分、

 それは覚えている。





 ただ、前言にも述べたとおり、当時はほんとうに

 もう関わり合うつもりなく、

 その時はその場をかわすための挨拶として強制終了した、程度で。




 ゆえに彼らの情報など一切、頭に、インプットされていないのだ。





 ・・・・・だから、





 「アレ………………………。名前、何でしたっけ」



 「…」


 「は?」





 こうなる

 当然、こうなる。




 ひとりで脳内会話を繰り広げていたために、なんの脈略もなく

 勝手に話しが進んで、…こうなるんだ。





 「…いや、ごめんなさい。突拍子もなく」


 「…そうだな、突拍子もなさ過ぎてかるく驚いた」


 「……あの、えっと。すみませんできればツッコまないでもらえるとありがたいです」


 「別の穴にはおれがツッコんでやるけどな」


 「そう言えば、名前知らなかったな。って、」


 「今ならしものチャック緩ぃから手加減して抱いてやんぞ」





 さっきから話の腰を折るような発言には、あまりにけで

 顔を引き攣らせながら、歩く生殖器か。

 なんて内心では毒を吐きつつ。





 「謹んでお断りします。他の色女とでもランデブーに出かけちゃって下さい」とわざと、

 話しを逸らせば。


 男は分かりきったような口調で「誰が「歩く生殖器」だバカヤロウ」と切り返して来た。



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