第一章.

私とあの人とあの男。

第1話




 今日も今日とて

 あそこにいる、あの人は待ってる、そこで。






 §





 ────…ボーン、ボーン。と重たそうな昼休憩のチャイムが鳴る。





 時刻はちょうど、

 13:00を報せたところ。





 各々が、定型文句の「お疲れ様です」を締めの挨拶に、

 快い会釈えしゃくをしていきながら、私も「お疲れ様です」と応答して

 作業フロアを、退く。





 必要な持ち物だけを持参し、

 職員通路の階段をかけのぼっていくと、警備室といっしょに、

 警備服に身を固めたおじさんが窓口からいつものごとく、

 静かな相槌あいづちを打ってくれて。




 私もそれに、

 軽く、低頭して玄関口を出ると、

 冬の寒風がヒヤッ、と首もとを取り巻いたので咄嗟に、

 亀のごとく、首をきゅっと竦めてみせた。





 ・・・・・寒。


 そう言えば今年、温暖のせいか寒波がくるの遅め、ってニュースで言ってたっけ、・・・・。





 もう、気付けば暦は12月。


 「寒い…」とは言え、まだ、気温はマイナスにも達していない現状。





 ふさふさの、ファー付きフードのジャンパーを、しっかり着ても、すこし暖かい。と

 感じるぐらいだから、

 どちらかと言うと、暖かさに慣れすぎて

 からだが付いていけて無い、というほうが逆に、しっくり来る。




 そんな、割とどうでも良いことを頭の片隅で、ボソボソ

 独白として呟いていたら────、





 はす向かいの、横断歩道を渡った先にある、ベンチのみの、

 ヒッソリとしたアーチ型公園。





 その、真反対側の入り口に、

 このご時世でありながら堂々と路上駐車を横行している、

 一台の黒塗りの、




 …それも絶対、お高いであろう『リムジン』というブランド名の車種が、

 視界に、突飛な金額かのごとく、飛び込んで来て


 思わず。





 ハァ…ーー、と。もう、何度目かもわからないため息が溢れた。





 ・・・・・いつになったら、辞めてくれる

 かな。路上駐車、





 毎度毎度、忠告(したくなくても)してしまうこちらの身にもなってほしいが、…。




 一度だけ、ほんとに警察にお世話になったことがあってから、一般市民としては

 肝を冷やす思いだ。





 ────…警察のひとも、

 あの人たちがどういう職に就いているかは凡そ、

 見当はついていて。




 そしてそう易々と、

 一警察官では、介入できない立ち位置にいるということも知っている。



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