無口幼馴染との恋愛模様

ひまなひと

第1話

「いってきまーす!」


 そう元気よく、俺は家を飛び出した。

「弁当忘れてる!」

 急いで靴を履き替えた母により、インターホンを押そうとしていた指が止まる。


 急いで出て来たのか、母は靴の踵を踏み潰しておりエプロン料理後のエプロンをつけている状態だった。

「他に忘れ物は?」

「入学式だし、問題なし!」


 そう、今日から高校生活が始まろうとしている。必要なものといえば、事前にしておくようと印刷されたプリントやワークブックだけだ。鞄の中を開き、それが入っていることを確認する。

「やっぱりないと思う!」

「なら、元気に行ってこい」

「はーい。じゃあ、改めて行ってきまーす」

 と母に手を振る。そして、隣の家のインターホンをポチッと押し込んだ。


『ピンポーン、ピンポーン』

 と住人を呼び出す音が鳴る。

「はーい」

 そう声をあげて出てくるのは、ここに住んでいる人妻だ。


「おばさん、おはようございます。…起きてます?」

なぎ〜!智希ともき君が迎えが来てるよ!」


 そう迎えに来たものは、幼馴染でもある。黒羽くろばなぎの家だ。隣の家に住んでおり、同じ年だ。母同士がすぐにママ友になり、幼稚園の頃からの付き合いがある。

 その呼ばれた幼馴染は顔を出さない。時計を見てもまだまだ時間がある。

(二度寝か)


「まだ時間がかかりそうだから、中で待ってもらえるかな?」

「まあ、いつものことですしね」


 そう、いつものことなのだ。

 階段の音を立てつつ、凪の母親は階段を登っていく。

 玄関に腰掛け、ぼーっとしながらその階段を見ている。


「いつもありがとうね。白石くん」

 そう言いながら出てくるのは、凪の父親だった。

「勉強を見てもらってますし、これくらいはしておきたいですね」


 凪は朝に弱く、授業中にも寝ている。だが、テストの点数は異様に高いのだ。本当に訳がわからない人種だ。


「ん。おは」

 そう言いながら、眠たげに目を細めた制服姿の少女がいる。気だるげに目を擦り、長い髪は寝癖でボサボサになっている。

「顔を洗うまで、学校には行かせません」


 凪の母親は、この姿を世間に晒すべきではないと判断し、顔を洗うまで玄関に行かせないよう両手を広げ動きを止めさせる。

 いつの間にか、玄関には菓子パンが1つ置かれていた。これが凪の朝食だ。


「はー」

 靴を脱ぎ、靴の踵を持ち丁寧に並べる。そして、菓子パンの近くに鞄と弁当を置き、凪が顔を洗っている手洗い場に到着するのだ。

 その立てかけている1つの櫛を取り出し、凪の髪の毛を解かしていく。1回解かすだけで、サラサラになるのは少し羨ましくある。


 水で顔を洗い、目を覚ました後は温水になるまでしばらく待ち、洗顔を始める。

「少し待て」

 その着ている制服の袖を折り、水にかからないように袖を捲り上げた。


「よし!これでしてもいいぞ」

 凪は洗顔を開始する。ヘアピンを使い前髪を横に流し、おでこの方から洗い、その次の目の横と順番に洗っていく。

 その全部が洗い終わったのか、温水で顔についた洗顔を洗い流す。その手を横に伸ばすのだった。だが、そこにはタオルがない。


「はいはい、ちょっと待ってろ」

 いつものタオルが入っているホワイトボックスをあけ、タオルを一枚取り出す。凪の頭に向かって投げた。ふわっと飛んでいったそのタオルはちょうど凪の頭の上に乗る。


 そのふわふわとしているタオルが取られると、ぱっちりとした目で長いまつ毛をしている美少女が現れる。

「ん、おは」

「はいはい、おはよう。てか、さっきもしたぞ?」

「ん」


 凪はチラッと時計を見ていた。まだまだ余裕がある時間帯だ。

「ほら、さっさと行くぞ。それよりも提出物入れたか?」

「……多分」


 そう言ったのちに、手に持っている鞄を突き出す。

「確認しろと…?」

「ん」

 凪は小さく頷いた。


 智希ともきはすぐにスマホを取り出し、写真を開く。そこには必要な提出物として書かれている紙が写真として保存されている。


「わかったから、朝ごはんでも食って待ってろ」

 凪は智希ともきに向けていた視線を外した。その見ている視線は凪の母親だった。


「時間内に起きてこない子に朝食はないよ?」

 ガーンと絶望した表情をしているのだ。まあ、仕方ないことだ。作ったとして食べないのなら、それは冷蔵庫に行き昼ごはんなどになる。それなら、作らずに起きてから作るのが正解だ。

 だから、朝ごはんは起きてこないと準備されていない。それが、この黒羽くろば家のルールだ。


 智希ともきはスマホでメモを開き、提出物の名前を書いていた。そして、確認ができたものにチェックマークを入れていたのだ。


「…英語のプリントは?」

「ん?」


 凪は首を傾げ、入ってなかった?と言わんばかりだ。英語の単語が書かれているプリントだ。単語を日本語訳にするのが宿題だった。

「うん、入ってなかった。それ以外は入ってたぞ」

「時間は?」

「15分程度なら余裕かな?」

 智希ともきはスマホの電源を入れ、時間を確認する。まだ余裕がある時間なことから、探索する時間は残っているのだ。


「部屋」

「探すのは手伝うぞ。最後の記憶は?」

「……ない」

「どうせ、英語の辞書とか教科書の隙間だろ」

「!」


 教科書の隙間から、ひらひらとプリントが一枚落ちてくる。


 凪は目を見開き、智希ともきを見ている。そう、部屋に入って1分で探し物が終了したからだ。

 一応汚部屋ではない。少々着替えたであろうパジャマが布団の上に投げ捨てられているくらいだ。それ以外は普通の部屋と言えるだろう。まあ、物は少ないけど。


「お前の行動を予測しただけだ」

「…変態」

「いや、なんでそうなる!」


 10年と少しの間、ずっと隣で過ごして来ていたのだ。そうなれば、相手の行動を読むことなんて朝飯前になってしまう。

「とりあえず、学校に行こうか」

「ん」


 ここで話をしていても、時間は一向に迫ってくる。だから、さっさと学校に行くのが正解だった。雑談をしながら、ゆっくりと学校へと向かっていく。

 返事は「うん」や「へー」と言ったもので、ある人から見れば興味がない物だと捉えることもできるだろう。



 _____

 後書き

 祝!初ラブコメ〜

 あまり自信がないのと、そろそろ書く練習したいな?ってことで急遽スタートです!週1投稿ができれば最高かなと考えています。

 暖かい目で見守っていただけると幸いです。

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