第4話恐ろしめの初仕事

私は今、街中を爆走中のパトカーの助手席に乗り…

「待ちなさい強盗犯!うちのひかりちゃんに撃たれたくなかったら車止めなさい!」

あろうことか初日で死を覚悟しているところです。怖いなぁ。スピードが恐ろしいなぁ。

「なかなか止まんないわね…ひかりちゃん!」

「はい!」

神崎さんがひかりちゃんに何かを指示する。するとひかりちゃんが後部座席の窓を開けて身を乗り出す。そして拳銃を構える。え、撃つの?!

「止まってください」

そう言いながら前の逃走車に向かって撃つ。弾は車の後輪に命中。タイヤがパンクして、走っていた道路の横にある公園に突っ込んで止まった。それを見たあたし達のパトカーもスピードを落として逃走車の近くに車をつける。

「さっすがひかりちゃん さ、行くわよ2人とも」

「はい」

「はっはい!」

神崎さん達につづいてあたしも車を降りる。ベルトについた手錠に手をかけながら車に近寄る。

「ほーら出てきてくださーい おもっ」

ひかりちゃんが犯罪者を引っ張り出す。

神崎さんとあたしを残りの犯罪者を車から出して手錠をかけていく。

「これで全員ね」

車に乗ってた4人全員に手錠をかけ逮捕。大変だった…。初仕事特に何も活躍は無く手錠をかけたのみ。いやこれである方がやばいけどね。

「犯人全員確保しました…はい…」

ひかりちゃんが無線で報告する。警察になるなんて夢にも思っていなかっただけにやる事もわからず、とりあえず犯人の横に立つ。そっちの方に目をやると犯人の1人が少し落ち着きがないことに気がついた。声かけてみようかな。いや怖いなぁ。でも逃げられたらあれだし…。よしっ

「あ、あの…?」

「退け!!」

「おわっ?!」

突然後ろに倒れてしまった。犯人の1人があたしを押して走って逃げ出した。これやば…追わなきゃ。

「馬鹿が!んな簡単に捕まって… なんだこいつ速?!」

「元陸上部舐めないで貰えます?!」

とりあえず犯人の後を走って追う。すぐ追いついてもう捕まえられるとこまで来た。犯人を掴もうと手を伸ばす。そしてもうちょっとで届くというところで

「ぬえっ?」

突然なにかに躓いてしまった。

「あだっ!」

盛大にすっ転ぶ。痛ぁ…。

「へっ馬鹿が!」

「大丈夫ですか由奈! 待て!」

ひかりちゃんが後ろから来てくれた。逃げた犯人に発砲して1発あたった。

「イッ…」

イッって言って倒れた。そんな痛いんだ非殺傷弾。場所にもよるだろうけど当たって即気絶とは…。

「由奈!大丈夫ですか?!」

「はい…すみません…」

そんなことより恥ずかしすぎる。まさか走って転けるとは。気恥ずかしさからサッと立ち上がって、気絶した犯人を回収する。重いなこの人…公園まで引きずってこ。しばらく歩いて公園に戻ってきたらすぐに神崎さんが走ってきた。

「由奈ちゃん大丈夫?!思いっきり転んでたけど…」

「大丈夫です…お恥ずかしい」

今度から走る時足元ちゃんと見よ…。

「でもちゃんと犯人は回収したみたいね その人パトカーに突っ込んじゃって」

「は、はい」

神崎さんがドアを開けてくれたのでそこに捕まえた犯人を無理矢理乗せる。

「あとは帰るだけね 由奈ちゃん、また助手席乗って ひかりちゃんは犯人と一緒に後ろね」

「わかりました」

「はい…」

かなり疲れた。身体が重い。でも初仕事をやり遂げた。素晴らしい、最高、めちゃくちゃ自分を褒めたい。パトカーが発車して、しばらく走ったとこで神崎さんが話しかけてきた。

「どうだった?私達の仕事」

「かなり…大変ですね…」

疲れてるのと、さっきの仕事の内容だけにこれが限界の返事だった。

「まっ、最初はそうでしょうね 私もそうだったわ」

「神崎さんも?」

「えぇもちろん 私だって最初から警察だった訳じゃないもの でも続けてるうちにどんどん慣れてきて、今はこれが楽しいの」

そりゃそうだ。神崎さんも警察になってすぐの時は、あたしみたいになってたに決まってる。…慣れかぁ。まあそうだよね…。今後の自分を想像しながら外をボーっと眺めてたら、警察署についていた。

「お疲れ様2人とも あとは私がやっておくから、2人は部屋で休んでなさい」

「あっありがとうございます!」

「ありがとうございます」

「…ねえひかりちゃん」

「なんですか?」

「ひかりちゃんってあたしと同期…なんだよね つまり、警察になってまだ時間経ってないよね?そんなにすぐ慣れるものなの…?」

「…慣れた訳じゃないです でも、1番最初の仕事に比べたら落ち着いて仕事できるようにはなりました」

「そっか…」

それでも凄い。あたしは落ち着いて仕事できるようになるまで、かなり時間がかかる気がする。

「…部屋帰ろっか」

「そうですね 由奈」

本署に入って、階段をあがって3階へ。やっと帰ってこれた…。部屋に入って真っ先に自分のデスクに向かう。椅子に座って全体重をかける。

「初仕事おつかれ」

「あ…黒瀬さん」

「相当疲れてんなぁ」

「はい…走って転けただけですけど」

「何があったんだよ」

今はとりあえず休みたい。この後まだ別の仕事あるけど…。

慣れるまで頑張ろう…。慣れるまで…。




おまけ 〜それぞれの事情〜

(神崎さんの場合)

「気持ち悪…さすがに飲みすぎたわ…」

飲み会に強制で参加させられた挙句、好き勝手飲ませおって…。ああ無理。また吐く。

「はぁ…もう無理…眠…」

ここで寝たら…でももう…起きてられない…




「…ですか?」

「起きてください、大丈夫ですか?」

「んぇ…?」

結局寝てしまった。空明るいし…なんか盗まれたりしてないわよね?

「大丈夫ですか?」

「え…ああはい…」

警察の人…?流石に通報されたかしら。まあ流石に大量吐瀉物の横で寝てる女見たらそうするに…あら?

「昨日吐いたのが…ない…」

おかしい。どういうこと?

「立てますか?外に出ますよ」

「はい…」

路地裏からまた別の路地裏に移動して寝た…?覚えてないだけ?もう訳が分からな…

「え?」

路地裏から出てそこに見えたのは、昨日までいた飲み屋が沢山ある繁華街ではなく知らない街並みだった。

「…お酒控えようかしら」

余計意味分かんないわ…。でも街は街だし警察の人に聞くのが1番よね。

「あの…」

「はい?」

「ここ、どこですか」

「…はい?」




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異世界落ちこぼれたちの警官生活 まめ田 とうふ @NeGinukitofu

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