第3話異世界の警察

ジリリリリリ…

「ん…」

ジリリリリリ…

「…んぁ?朝か…」

相変わらず朝は辛い。寒いし。しかし意外にもよく寝れた。知らない世界だってのにこんなぐっすり寝れるもんなんだなぁ。とか考えてたら部屋のドアが開く。

「昨日朝弱いって聞いてましたがちゃんと起きれたんですね」

「はい…おはようございます 水野さん」

「ひかりでいいです 同期って扱いらしいので そこのクローゼットに制服があるので、着替えて来てください」


—女子寮—

シャツにスカート、ネクタイという昨日までとあまり変わらない服の上に黒い模様が入った青い上着を着る。…そしてこの眼鏡、ひかりちゃんにつけてって言われたけどなんでだろ?つけても度が入ってる訳じゃないし…まあつけとこ。着替え終わって部屋から出る。部屋から出てすぐ見えるのは長い廊下。3階建てであたしの部屋は2階の角部屋になった。にしても広いなこの寮。人少ないのに。玄関まで時間かかるなぁ。とかそんなことを考えながらひかりちゃんの後を歩く。すると奥から1人女の人が来た。

「あ、神崎先輩」

「おはよぉひかりちゃん で、その子がひかりちゃんの同期の子ね」

「はっはじめまして!浅野由奈です!」

落ち着いた雰囲気でおそらく年上の、大人の女性という感じの人。

「私は神崎澪かんざきみお これからよろしくね」

「よろしくお願いします…!」

すごい綺麗な人だったなぁ。ひかりちゃん「神崎先輩」って呼んでたし先輩だよね。なんか嬉しいなあ。

「行きますよ 由奈さん」

「あっうん あと、あたしも由奈でいいよ」

「わかりました 行きましょう 由奈」


—本署—

…遠かったなぁ。自分の職場だよねここ。職場とは思えないくらい歩いたよ。

「ここです」

ひかりちゃんが部屋のドアの前で立ち止まる。ドアの上に部屋の名前が書いてある。

非魔力行使警察ひまりょくこうしけいさつ2…」

そのまんまの名前だった。昨日黒瀬さんが言ってた適当な組織って本当なんだなぁ…。ひかりちゃんとその部屋に入る。部屋には黒瀬さんともう一人、あたし達と同い年くらいに見える男の子がいた。少し広いかなくらいの部屋に人数分のデスクと隙間を埋めるためであろう小さいテレビがある。

「お、来たな。」

「ん?あの人が俺の同期って人ですか?」

あたし達に気づいて男の子が立つ。

「俺、牧村颯馬まきむらそうまです 今日からの人だよね?よろしくお願いします!」

「お、お願いします」

思ったより明るい感じでちょっとビビったけど、悪い人じゃないっていうオーラが滲み出てる。

「で、俺が黒瀬功一くろせこういちそういえば言ってなかったな」

「黒瀬さん…よろしくお願いします!」

「由奈の席はあそこ ひかりの隣だ」

そう言って黒瀬さんは窓際の角の席を指す。いかにもな主人公席…自惚れ過ぎかな?デスクの上はパソコンが1台置いてある。やっぱパソコンあるんだこの世界。もう慣れてきた。

「由奈 これに目を通しておいてください」

ひかりちゃんが椅子に座って数枚紙を渡してきた。えっと…「非魔力行使警察とその警官の業務内容」、「専用拳銃の取り扱いについて」…とこの調子で、ここの警察についての説明らしい。あ、そうだこれ聞きたかったんだ。

「そういえばさひかりちゃん この渡してくれた眼鏡、なんのため?」

「ああそれですか 眼鏡外して書類見てみてください」

「え?わかった…」

言われた通りに眼鏡を外して書類を見ると、そこには英語でも日本語でもない見たことない言語で書かれた文章があった。

「えっ?え?」

思わず声が出てしまってひかりちゃんがクスッと笑う。

「驚きました? それ、言語を翻訳してくれる眼鏡なんです」

まさに魔法の眼鏡。えじゃあこの世界の学校外国語ないの?

いいなぁー!

とりあえず今のあたしにものすごく必要なものだってことはわかった。

「魔法やべえ…」

初めて触れた魔法に感心しながら眼鏡をかけて書類を読み始める。5、6枚の両面印刷。多いのか少ないのか…。

「えーっと…?」

読み進めるうちにまたこの警察の人達可哀想だなって思った。だって事件で何があっても責任あんまり負いませんよみたいなこと書いてあるんだもん。あまりに不安だよここ。…まあ本当にこの世界が魔法で全てが決まるとこってのがより浮き彫りになった気がする。ただそれより気になるのが2つ目の書類。

「専用拳銃の取り扱いについて…?」

読んでみると、だいたい「特別な魔法の弾を撃つ専用の自動拳銃があるから魔法が使えない人はそれを使ってね。でも扱いには気をつけないと暴発して魔法が自分に帰ってきたりするから気をつけてね」的な内容。魔法って単体で使う意外にもできるんだ…。昨日黒瀬さんがあたしを助ける時に使った拳銃もこれだろう。…あ! あ!昨日の犯人見た時の違和感!あの人…人?って言っていいのかわかんないけどあの人!黒瀬さんに怒鳴ってた時やけに元気だったりしたけどそうだ。服に血が着いたりしていなかった。弾痕がなかったのだ。…いや当たってたよね?弾。叫んでたし。

「そういう弾…?」

そう思って書類を見漁って見ると、当たっても痛むだけの制圧用非殺傷弾せいあつようひさっしょうだんなるものがあるらしい。いやそりゃ弾丸とかそんなスピードで発射されたものあったら痛いに決まってるでしょ。覚えること多くて頭パンクしそうだあ…。書類を読んで頭を抱えているとドアが勢いよく開く。

「ひかりちゃん!仕事よ!」

神崎さんがひかりちゃんを仕事に連れ出しに来たらしい。

「…あ、そうだ 由奈ちゃんも行きましょ!」

「えぇ?!あたしもですか?!」

「百聞は一見にしかず 確かに現場に連れて行った方が早いかもしれませんね」

ひかりちゃんまでそう言う。

「わっ、わかりました!」

さっき書類で扱いを覚えたばかりの拳銃と帽子を持ち、神崎さん達に連れられ外に出る。

初仕事怖い!やばいよ!




おまけ 〜それぞれの事情〜

(ひかりちゃんの場合)

「…まあこんなもんですかね」

今日から出張。軽く荷物をまとめて職場を出る。事務所を出てビルの1階へ。そして外に出て駐車場に。そうしてビルのドアを開ける。


「…ん?」


街なことには変わりない。さっきまでいた街と似てる。同じくらい発展している。

「どこですかここ」

でも知らない場所。…こうなったら道はひとつしかありませんね。

「警察に相談しましょう」

発展した街に警察がいないはずない。そう思った私はなんの迷いもなく道を歩いていく。




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