第5話 雨上がりのレニー

 小降りの雨も次第にまばらになっていく。

 雨が上がるまで、もう時間は少ない。

 レニーは傘をたたみ、肩に担ぐと全速力で走った。


 ぐんぐんと近づいてくる街並み。

 待合小屋の前を通り過ぎ、元ブティックだったカフェの横を通過する。


 次第に空も明るくなり、雲間から太陽が顔を出す。

 それでも、まだ僅かに落ちてくる雨粒。


 まだ完全には雨は上がっていない。

 急ぐレニーの足は更に早くなる。


 別に広場である必要はないかもしれない。

 でも、それでも、再会にお互いを思う気持ちが必要なら、レニーにとっては広場が必要だった。

 あの時のあの広場とは違うけど、少しでも近い状況でなら言えると思うから。


 ついにレニーは目的の広場へとたどり着く。

 雨は……、まだ上がっていない。


 そして、広場の中央。

 そこには、懐かしい人影。

 どこかレニーに似た面立ちがこちらを向いている。


 両足を踏ん張り急ブレーキを掛ける。

 雨で滑ってつんのめりそうになるが、必死に堪える。

 その姿を見て、人影が一瞬驚いた後、微笑んだ。

 まるで、「仕方ない子ね」と言っているようだった。


 だからわたしも答えないといけない。


 まずは一番届けたかった言葉からだ。



――ありがとう。

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雨上がりのレニー サイノメ @DICE-ROLL

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