第二十一話

何度も何度も麗し高山まで登ってきたけど、鳥居の前で止まるだけで、あの日以来中に入ったことはない。きっと鳥居の向こうにあるだろう惇の名残を見るのが怖かった。だけど、完全に僕の罪と向き合わないのは罪悪感が働いて、鳥居の前まで足を運んでいた。惇....なんで?なんで今さら生きてるって証したの?なんで僕じゃなくて奏多に姿を見せたの?普通僕じゃない?なんで奏多も呪ったの?そもそも呪いって何?なんで僕だけじゃないの?なんで?................なんで......僕を助けたの?疑問が沸き上がってきて頭を埋め尽くした。何度も考えてきたなんでが全部一気に口から溢れそうになる。深呼吸をして足元の一歩一歩に集中する。今は先のことはいい。足元に集中するだけ。「あとちょっとだな‥」奏多は少し歩く早さを遅くした。僕も奏多に合わせながら、「これって中まで行く?」と問いかけた。「たぶんな。」奏多はさらに遅くなる。数分の沈黙が繰り広がり、奏多は止まった。僕は振り返りぱちくりと奏多を眺めた。奏多は空やら雲やら鳥やらを見て僕を見ないまま、口を開いた。「涼は、大丈夫なのか?惇のこと。だって死んだと思ってたんだろ?それなら合わない方がいいじゃないか?」妙に焦りがかかってる言い方だ。「なんか知ってるの?」思ったより怒った声が出て慌てて「いや、なんか知ってるなら、えっと、教えてくれないかなって.......」と言い直した。「ごめん、涼。知ってると言うか、なんと言うか、ごめん。」何度も誤り、心の底から苦しそうな表情をする奏多を僕は攻められない。僕は前を向き、黙って鳥居まで歩いた。

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