第二十話
鳥の囀りを聴きながら山を登る。いつも高山に来ていたのは昔に戻れるから、も、あるが、惇の墓参りに来ていたのもある。ずっと惇が死んだと思って、人生もうどうでも良かったのに、生き返って欲しいと何度でも願ったのに、実際生きているとなるとどんな気持ちでいればいいかわからない。泣きたいのか、笑いたいのか、安心したいのか、怒りたいのか、叫びたいのか、全部なのか。とりあえず奏多に言われた紙に書いてあった呪い?を解こう。全部考えるのはそこからだ。太陽が霧に光を差し僕たちを照す。山はうるさくて、静かだ。人工的な音がない、自然だけの音がする。元々山、自然は好きだ。父が出ていった前、そして家族妨害する前、僕たちはよく家族で山登りをした。てっぺんに上れてはしゃぐ双子を見て、両親は優しく笑っていた。そんな暖かい記憶が山にいると蘇ってくる。それでもこの山は登ると心が冷える。ここでは暖かな家族の記憶より、鋭い後悔と悲しみの記憶が勝つから。ただし、今は一人じゃない。奏多という、心強い友達がいるから。一人じゃないなら、高山寺の中まで行ける気がする。
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