第二十二話

僕がほぼ走りに近い早歩きで鳥居に向かっていると奏多は慌てて言葉を漏らした。「ちょ、涼!ごめんて!と、鳥居抜けたら、は、話すから!やくそk」僕は言葉をさい切るように素早く振り返り奏多の目の前に立った。そして奏多の顔へ手を突き出した。反射的に目をつむった奏多のほっぺをぷにっとつつく。「ふふ、びっくりした?笑える。あと、別に言わなくていいよ。」「は?いや、真剣なんだけど、俺。」「うん。知ってる。でもつつきたくなったから。」「おまえなぁ、ほんといい性格してんな。」僕はきゅるん♪っとぶりっ子ポーズを取って「奏多くんひどい!あたし奏多くんの気をよくするため頑張ってるのに!」と黄色い蜂蜜たっぷりの声で言った。「わかった。わかったから。仲直りな。」ふふんと得意気に笑ってから歩き出す僕に「おまえ俺にだけキャラ捨てて変なことしだすよな。」と頭を抱えていた。奏多は呆れながら、僕は笑いながら、鳥居を潜った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る