第十七話
帰ると、家に違和感があった。何かが動かされたとか、置いてあったとかじゃなくて、『香り』だった。優しい森のお花みたいな香りなのに、つんっと鼻の奥に来て涙が滲む。なんだか頭がクラクラする。「な、に...これ...」鼻を押さえながら息を詰まらせた。臭いで眠気は置き去りにされていた。「あのときと、同じだ...」奏多は鼻を覆いながら呟いた。それを聞いて、この匂いが教室の物だと気づいた。「こ、...」息をのみ込み、喉を絞らせ言葉に出す。「これも...まこちゃん...?」奏多は唇を血が滲むほどに噛む。「...行くぞ。」僕たちはとりあえず外に戻った。「涼、ごめん。ちょっと惇の話をしないと...」「うん。話して。」奏多は歩くペースを落とし、息を吸って話をする。「教室に惇が居たって言ったろ?」「...うん。」「色々荒らしたのも惇だ。」「...そう。」「その前に、紙を渡されたんだ。」「...そうなんだ。」「二人に呪をかけたから、高山に来いみたいなことが書いて会ったんだ。」「...明日行ってみよう。今は、ね、帰ろう。」「そうだな。匂いも薄くなったはずだし...」ドアを開けたとき確かに香りは薄まっていた。しかし、完全には消えなかった。なぜか、何をしても惇の面影があるようで、なんとなく嫌になった。僕たちは不安だから布団をくっつけて、一つの大きな布団にして寝た。お互いの体温を感じられると少し気が晴れた。
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