第3話・あなたたちの守り人になって、王さまと王妃さまにしてあ・げ・る「こんだけぇ」

 ドララ・ララの言葉に怯えた、男のフェリシアを女のショウが抱きしめて、守るような仕草をしたのを見たドララ・ララは剣の柄から手を離した。

「聞かせてくれるかしら……あなたたち、どうもワケありの転生者みたいね」


 フェリシアとショウは、自分たちは異世界コチの世界ではない、現世界アチの世界の大きな病院の別べの病棟に入院していた、難病患者で奇しくも同じ日の同じ時刻に亡くなって転生してきたと……伝えた。


「あたし、ショウは……男から王女に生まれ変わりました」

「オレ、フェリシアは女から庶民のパン職人の息子として、生まれ変わりました」

「その、身分違いの二人がどうして出会って、今一緒にいるの?」

「それは……」


 フェリシアは『ナン国』の出身者で、病に伏せた父親に代わってロバのバリエンテが引く、パン焼き窯が付いた移動パン販売馬車で『ショウ国』にパンを売りに来た。

 そして、下町で城から逃げてきたショウ王女と出会った。


 ショウ王女が言った。

「フェリシアと出会った瞬間──前世の入院していた、男だった時の記憶が甦りました」

 フェリシアが言った。

「オレも、ショウに会った瞬間に──前世で女だった時の記憶が甦りました」

「つまり、性別逆転で転生をしたってコトね……こんだけぇ、名前が男女逆なのは『ショウ国』と『ナン国』の風習ね」


 ショウ国とナン国には、男の子は女性名を、女の子には男性名を付ける風習がある……それは、悪魔を惑わせて魂を持っていかれないようにする、長命の風習だった。


 ドララ・ララが、二人の名字についても質問する。

「王女さまは、国名を名づけられたのね……ショウ国とナン国は、東方地域の影響を受けていて、続いているブームで現世界の和名をお守り代わりに付けている人が多いと聞くわ……あなたたちにも、お守りの和名名字はあるの?」


 ショウ王女が胸に手を当てて答える。

「オレ……じゃなかった、あたしは『織星おりぼし ショウ』」

 続いてフェリシアが答える。

「あたし……じゃなかった、オレは『彦牛ひこうし フェリシア』」

「あらぁ、素敵な名前じゃない……気に入ったわ、あなたたち二人を守って……ショウ国とナン国を合併させた新たな国の王さまと王妃さまにしてあ・げ・る……こんだけぇ」


「戦士ドララ・ララ……気持ちは嬉しいんですが、話しが大きすぎます……二つの国を一つにして、オレたちを国王と王妃にするなんて……国王と王妃? け、結婚するんですか? オレたち?」


「ウソも百回言えば本当になるのよ……あたしのコトは『ララ』って名前で呼んでぇ……とりあえず、ショウ国とナン国を渡り歩いて、今後のコトはじっくりと考えるとしましょうか……巴投げぇ」

 そう言って、魔法戦士のララは、柔道の投げ技のマネをした。

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TS王女と庶民男子とオネェの戦士ドララララ! 楠本恵士 @67853-_-

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