歴史オタクの俺、異世界で「エセ軍師」になる。~現代知識とハッタリだけで英雄扱いされているんだが、いつバレるか気が気じゃない~
200pv突破記念 閑話 セシリア姫の観察日記 ~軍師様は、ただの石ころを宝石に変える魔法使いのようです~軍師様
200pv突破記念 閑話 セシリア姫の観察日記 ~軍師様は、ただの石ころを宝石に変える魔法使いのようです~軍師様
王都から馬車に揺られること一時間。
カズヤ様に連れられて到着したのは、見渡す限りの荒涼とした岩山でした。
かつては石切り場だったそうですが、今は誰も寄り付かない荒れ果てた場所です。
私は、カズヤ様に用意していただいた「サギョウギ」という服に身を包み、小さなスコップを握りしめていました。
正直に申し上げれば、不安で胸がいっぱいでした。
もし塩が見つからなければ、私たちはあの強欲な商人、ゴルドンの無理な要求を飲まなくてはなりません。民たちが飢え、苦しむ姿を想像し、私は思わず俯いてしまいます。
「心配無用です。……歴史の知識が正しければ、ここは宝の山ですから」
けれど、カズヤ様はいつものように自信に満ちた微笑みを浮かべて、私の不安を吹き飛ばしてくださいました。
その背中は、どんな時でも私を導いてくださる、頼もしい道しるべです。
◇
洞窟の奥へ進むと、ひんやりとした風が頬を撫でました。
やがて開けた場所に出た瞬間、カズヤ様の掲げた松明が、壁一面を照らし出しました。
「き、綺麗……。まるで宝石のようです」
思わず感嘆の声が漏れました。
壁一面が、白く濁った結晶でキラキラと輝いているのです。
カズヤ様はツルハシでその壁を叩き、落ちてきた白い石の欠片を私に差し出しました。
「姫様。騙されたと思って、これを少し舐めてみてください」
石を舐めるなんて、王族としての教育にはありませんでした。
けれど、カズヤ様のまっすぐな瞳を見ていると、不思議と怖くはありません。
おそるおそる、舌先でその白い塊に触れてみます。
「――っ!? しょ、しょっぱいです! これ、本当にお塩なのですか!?」
「正解。『岩塩(ロックソルト)』です」
カズヤ様の説明は、私には少し難しすぎるものでした。
数億年前、ここが海だった? 海水が石になった?
まるで御伽噺(おとぎばなし)のようです。けれど、口の中に広がるこの確かな塩気は、どんな理屈よりも真実を物語っていました。
さらにカズヤ様は、ポケットから小さな黄色い豆を取り出し、これで油まで作れると仰いました。
ただの石ころを塩に、雑草の豆を油に。
カズヤ様の手にかかれば、この世界にある「無価値なもの」が、次々と「宝物」に変わっていくのです。
「さあ、採掘開始だ。これを持ち帰って、あの強欲なタヌキおやじに見せつけてやりましょう」
不敵に笑うカズヤ様の横顔を見つめながら、私は確信しました。
このお方は、絶望の淵にいた私たちの国に舞い降りた、奇跡そのものなのだと。
「はい、カズヤ様! 私もお手伝いいたします!」
私は小さなスコップを握り直し、光り輝く壁に向かって力いっぱい踏み出しました。
カズヤ様となら、どんな困難も乗り越えられる。そう信じて。
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