第3話

時は少し遡る


あー今日も友達できなかったなぁ

学校からの帰り道、とぼとぼと歩きながら誰にも聞こえないほど小さな声で愚痴をこぼす。

僕ははコミュ障だ。自分でも隠の者の自覚はある。出来るだけ嫌われないようにと思っていつも笑顔を心がけてはいるが逆に気味が悪いと誰も近づいてきてはくれなかった。できるだけ陽の者を演出してるつもりなのだがどうにも上手くいかない。

辺りはすっかり暗くなりはじめ、住宅街の街灯が灯りはじめるが、近くの街灯は切れかかっているのかチカチカしている。…僕もこの街灯みたいに消えてしまいたい。

そう思った瞬間周りの景色が見た事もない場所へと変化する

!?!?!?

え?何これ?やばい!どうしよ!愛読の異世界系漫画でシュミレーションしていたとはいえ、やはり異世界召喚は想定外だ。こんな時すぐ気づいちゃうと怖い魔物とかでてきて、大概ピンチになるんだよね

怖いのも痛いのも嫌だし何とか危険フラグは回避しないと!よし!何もわからないフリをしよう!

そうだよ、何も気づかなければ何も起きないはず!焦って大きな声とかだしゃうからダメなんだ

冷静に、焦らず、自然に


      ふんっ〜ふっふ〜ん♪

      ふんっ〜ふっふ〜ん♪


わざとらいいかな?ふんっ〜ふっふ〜んてなんだよ!今時の漫画でもそんなセリフ言わんわ!でも気づいてないフリっ何していいかわかんないしとりあえず続けてみるしかないよな。お願いします!何も出てこないで!

心の中で自分の演技力の無さを嘆きながらも何とか平静を装い何もでないよう祈り続ける。



     

     「つ、月がきれいっだな〜♪」



よしよし、何も起きないな。これ正解なんじゃない?このまま何も起きるなよ〜てか月でかっ!2個あるし…やっぱここ異世界なんだな。それに、この世界きてから手に引っ付いてて離れない謎の枝。握っていた手を開いて振ってみも離れないのだ。不思議。神様みたいのは見てないけどこの世界で生きていく為のギフトなのかな?

ん?何か音が聞こえる…。人の声…?結構たくさんいそうだな。どうしよう、想定されるパターンとしては

①盗賊に誰かが襲われてる

②冒険者が魔物と交戦中

③何か悪そうな組織がやんごとなき儀式の真っ最中

戦闘力0の自分はどれに当たっても死ぬ確率高し…さて、どうする。どちらにしろこのままここで1人彷徨い続けるより誰かと一緒にいたい。

圭太は音がする方向へ向かう決心をする。

そこには冒険者っぽい集団とでかい兎?がいる。

うん、これはパターン②だな。この場合、冒険者に味方するのが正解か?でもあの鎖で繋がれてる奴どっからどう見ても大っきい兎にしか見えんのだよなーモフモフ好きの自分としてはこの兎を味方につけるというパターンもやぶさかではない。

そこから出た言葉は

「えー、うさちゃん、可哀想」だった。


『どこがこれ見て可哀想なんて言えるんだよ!お前、こいつが何なのかわかって言ってんのかっ!?ヴォーパルバニーだぞ!!』


え、めっちゃ怒られた。ヴォーパルバニー?確か漫画知識に頼ればすごい強いレアエネミーだった気がする…。やはり、ここは冒険者より兎に味方するべき?あっ…兎めっちゃこっち見てくる。すんげー圧かけて見てくる。これはもしかしなくても助けを求められてる?え、無理よ、僕戦闘力0よ?戦った事なんてないからむしろマイナスよ?集団には巻かれるタイプなんです。袋叩き怖いじゃん。誰が他に助けてくれそうな人いないかな?おっ、あのスキンヘッドの人強そう。とりあえずあの人にお願いしてみよ。


『ん?オレ!??ムリムリムリムリムリムリムリムリム⚪︎⭐︎×◻︎!』


めっちゃ拒否られたw笑うしかない。やっぱ無理だよねwあ、鎖切れた。めっちゃ足ダンしてる。これって確か仲間に危険を知らせり、不満があったりした時に鳴らすやつだったっけな。しかし、すげー高速で動くなあの足。え 火ぃついた!やばっ!蜂球のもっとすげーやつじゃん!冒険者めっちゃ吹っ飛んだ…やばい、あれは死ぬ、僕に向けられたら確実に死ぬ。絶対回避、とりあえず褒めとくか!褒められて嬉しくない人?なんていないはず!とりあえず拍手!!褒める!


「うわぁーうささんすごいね!火傷しないの?

サ◯◯みたいだった!タバコ吸う?僕持ってないんだけど持ってたらちょっと咥えてみてほしいな!」

どしよ、余計な事まで行っちゃった…。


『いや、持ってねーけど…てかお前今の状況わかってる?この人数じゃ全員逃げれねーから倒すしかない絶望的で危機的状況なんだけど?』


え、兎、めっちゃ話す!意思疎通できるという事は仲間にできるパターンがあるはず!どちらにしろ話す相手なら絶対死亡フラグは回避できるはず!なら、やる事は1つ!!




「えーそっかー残念…じゃあさ、ちょっとだけモフモフしてもいい?」

大体これで仲良くなれるはず。


『 ?! 初対面の人にはちょっと…』


え、拒否られた!仲良くならないと死んじゃう!もっとお願いしなきゃ!


「本当にちょっとでいいから!断言できる!君ほど素敵できれいなモフモフは今までに見た事ないっ!僕は本気です!よろしくお願いしますっ!」


『……………………チョットダケナラ』


よっしゃ!!キターーーーーッ!!死亡フラグ回避ー!回避ですよ!やった!これで生き残れる!

いやーほんとどうなる事かとドキドキだったけど上手くいったな。命も助かってモフモフできる。これぞまさに一石二鳥。うはぁ〜めっちゃ柔らけ〜兎の毛ってこんなトゥルントゥルンなんだ。犬や猫よりもずっとスベスベしてる。あー生きてて良かったぁ




『じゃあそろそろ殺していい?』





「え?なんで?」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ただの天然ボケか何事にも動じない男かと思っていた主人公。

実はただのコミュニケーションが下手なビビりさんです。

この先上手く人生を楽しんでくれる事を願うばかりです。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

最近流行りの異世界にきましたが特にやる事がないのでフラフラしようとおもいます なち丸 @a0208uiharuru

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ