第1話〈旅の仲間〉
俺は今、超絶戸惑っている。黒髪ロングヘア美少女と30代後半のおっさんが全力で頭を下げているのだ。なぜこうなったかって?んなもん俺が聞きたい。いや、これ戸惑わないやついないよな?うん。戸惑わないやつなんて猿か理解力バケモンが脳の腐ったアンデットか、目の前のおっさんぐらいだよな。
これは、最強を目指す少年の、小さな物語…………
時は遡り2時間前。俺は広場の噴水の前で父と駄弁っていた。
「なぁ、渚、いい加減旅出ないか?」
(まぁたこの話か………)
「だから出ないって言ってんじゃん」
俺は何百、何千───いや、何万と繰り返された父のフレーズに、呆れるように言い放つ。いつも通りの問いにいつも通りの答え。これに更にいつも通りの反応が来る…………はずだった。いつもなら「え〜まじか〜」やら「いい加減もーいーだろ」やら、割とすぐに引き下がってくれる。のだが………今日は違うらしい。
親父は何故かニヤリと薄ら笑いを浮かべ、謎の一言を発する。
「フッ………美少女が一緒だとしてもか?」
「………は?………」
(何言ってんだコイツ………)
何を言っているのか理解出来ない。というか理解したくない。
1人でもイヤだってのに、誰かと………それも、女となんてウソに決まってる。そうだ、ウソに決まってる。
そんな現実逃避をする俺の思いは叶わず、望まぬ事が起こってしまう。
「おッ!噂をすれば旅の相棒ちゃんのご到着だ……構えとけよ、渚」
「え?────なッ………!」
広場に1つの影が落ちる。
(上ッ!)
上から何かが落ちてくる。それを俺はバックステップでギリギリ躱す。
上から降ってきたモノは、確かに美少女だった。綺麗な黒のロングヘアが見える。彼女は長い棒に刀のようなものを取り付けた武器───薙刀を構えていた。立ち上がることで彼女の顔が見えるようになる。その顔はワクワクしたような笑顔だった。確かに美少女と言われるだけある。どっちかといったら美しいというより可愛いタイプだ。
「フッ、物騒な冒険の相棒志望者だな」
俺はそう呟き、銀色の剣と村の紋章が入った漆黒の盾を取り出す。
「ふふん、ごめんね〜、物騒で♪」
陽キャでそこそこムカつく薙刀使いの美少女か………俺があんま好きになれないタイプだ………色んな方面で。
「ほら、さっさとかかってきなよ」
「はあ………先に仕掛けてきたのはそっちだからな………痛い目見ても知らん………ぞッ!」
そう言い、俺はヤツとの距離を一気に縮め、下から上に切り上げる。だが、そこは冒険者志望………しっかり防がれる。
(ま、こんなんじゃ駄目だわな。じゃあ次だ)
転がって女の背後に回り、もう1度剣を振り抜く。だがこれも防がれ、回転攻撃が来る。
俺は回避のために7メートルほど跳躍し、剣を振り上げる。
対する向こうは剣を受けるため、防御の体制を取ろうとする。
(まんまと引っかかったなァ!)
俺は剣………ではなく盾を持つ左手を振る。ちと気が引けるが、これは戦闘。さっき忠告もした。なら遠慮は要らない。などと自分に言い聞かせて盾を思いっきり投げつける。予想外の攻撃に少し判断は遅れたようだった女だったが、ギリギリで盾を弾けたようだ。だがこんなところで終わるほど世界も俺も甘くない。俺は盾を踏み、体制を整えて落下の勢いを活かしながらぶっ叩く。が、これもギリギリで受けられる。
(これも受けるか…………もう一発入れとくか)
俺は剣を軸に足を回し、顔………は流石にダメなので腹を蹴りつける。
「かはッ…………!」
(お れ の か ち ☆ 最後なんかカッコつけてみるか?)
ラストは剣を向けて言い放つ。
「まあだ闘う気はあるかな?“お嬢さん”」
「ははっ、つよ……………」
そう呟いて地べたにへたれこむ“お嬢さん”。
「すまんな、強くって♪」
「うぐ………なんかこいつムカつく………」
などと2人で闘いの余韻に浸っていたところに、親父が口を挟む。
「いや、渚も少しは危なかったろ」
「まあな。村じゃ片手で数えられるぐらいにはちゃんと逸材だ」
(ま、俺片手で30は数えれるけど)
「こんだけ強かったらお前の足を引っ張ることもねえだろ。むしろ渚も負けるときは負けるんじゃねえか?2人で旅、行ってこいよ」
「そうそう!サバイバルとか野宿とか私全然イケるよ?だからお供させてよ、お願い!」
確かにコイツは強い。実際俺もコイツ、俺と同じ位には強いな、とは思った。それに懸念点の生活系も大丈夫らしい。だが…………
「絶対にお断り。確かにコイツは強い。だがあくまで俺レベル、世界的に見れば良くて中の下だ。今の俺らだと中級の魔獣程度でやっとだ。このままドラゴンなんかに遭遇してみろ。2人仲良く冥土逝きだぞ?」
「そこは俺の師匠に鍛えてもらうから………頼む!」
そう言って女と共に頭を下げ始める親父。ま、こうして序盤のシュールな画ができた訳だが、ここまで言われて折れないのはなんか違う気がする。まあ、親父の師匠だったら人柄は別として実力が付くのは確かだ。
「チッ、しゃーねーな」
「「よし!」」
頭を全く同じタイミングで上げた2人がキレイにハモりながらガッツポーズをする。何だコイツら、シュールを極めたシュールの神か?いや、だって今全然動きがズレてなかったもん。怖すぎんだろマジで…………
「あっ、そういえば自己紹介まだじゃん」
「うっわ、そうじゃん………俺ら互いの名前も知らずに旅に出る出ない議論してたのか………」
「あはは………私は
「俺は渚。穂神渚だ。よろしく」
「よろ〜!」
〈王の道を往く〉リメイクver. 総集編 hi-pi @hi-pi
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