〈王の道を往く〉リメイクver. 総集編
hi-pi
プロローグ
「渚、旅に出ろ」「やだ」
即答。もうね、何回この話するんだって話。
親父────ガーベラ村村長兼一応最強の戦士、
俺は絶対に旅には出ない。出れないし出る気もない。出て何になる。
これは、最強を目指す少年の、物語が始まる前のお話。
俺は穂神
それでも旅には出たくない。ここは厳しい世界だ。魔獣や魔物なんかがウヨウヨいるし、冒険者を潰しに来るような組織や盗賊なんかも侮れない。こんな危険な世界をわざわざ冒険するなんて頭おかしいんじゃないかと思っている。実際、目の前にいる元冒険者も頭おかしい奴だ。
「なんでこっち見るんだよ」
「いや、そういえば頭おかしい奴が身近にいたなって思いまして」
「誰のことだよ」
「お前だよ!」
「はあ!?誰が頭おかしい奴じゃボケェ!」
親父が吠える。うるさいなコイツ………
「ドウドウ、落ち着きなさい」
「俺は馬か?」
「一度突っ走ったら止まれなくなるお馬鹿な牛さんじゃねーの?」
「ひどい…………」
親父は〈しょぼーん〉という効果音さえ出てきそうなほど凹んでいた。
「まあまあ、落ち着けって。そんなしょぼくれてても周りの人間がひくだけだぞ?」
「泣いていい?」
「醜いからだめ」
「(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)」
「あらら………まじで泣いたよこのオッサン………」
「( TДT)」
ギャン泣きする村長とその息子。親父を知らない人から見れば驚きだろう。なぜなら、穂神翼には〈村長の威厳〉というものがなかった。だが、その分誰にでも対等に接し、村人との距離が近いのだ。これは彼にしか出来ないだろう。そこは尊敬する。俺には出来ないことだ。だからこそなぜここまでだらしないのかが分からない。まあ、そこが好きっていう風変わりなファンも一定数いるらしいけど。俺は違う。もっとちゃんとして欲しいな、とは思っている。
「。゚(゚´Д`゚)゚。」
「まだ泣いてんのかこのおっさんは………」
「うえーん、渚君が旅出てくれないから悲しいよ〜!」
「だから出ないって言ってるだろ?」
「出ないとだめ」
「じゃあ出ない」
「出ろ」
「なんで出ないとだめか簡潔に説明してくれ」
「あのな?渚。お前は強いんだろ?」
「そこそこだよ」
「それでも村人を救えるだけの力はある。だからその力を誰かの為に使うんだよ」
「今使ってるじゃん。村の防衛」
「ただ突っ立ってるだけだろ。それより、世界中の村を1つずつ救っていくんだよ。それが旅をする理由だ。世界は美しいぞ?お前が思ってるよりずっと広い」
「俺も出来るかねぇ…………」
俺は親父に聞こえないように呟く。
(〈1つずつ救う〉か………俺ひとりじゃできなさそうだよな………)
今日も平凡で、退屈で、それでいて騒がしい日常は続くのだった。
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