【ハルカ】3

 ささくれた彼の指は、いつだって私を助けてくれる。


 書き初めのときは半紙を押さえてくれるし、チョコを作りたいと言えばボールを押さえてくれる。

 高校生のときに、動画投稿を始めたいと言ったときもそうだ。

 歌手になりたいって夢があるけれど、そんなことは誰かに言えるわけもなくて、でもユウジはきっとそのことを理解してくれて、歌ってみたをやりたいという私の願いを、「面白そうだね」って受け入れてくれた。



 小さいころ、彼が育てていた金魚が、水面に浮かんで動かなくなったのを一緒に見つけた時がある。もう小学六年だったから、金魚の命が尽きたのだということは理解できた。ユウジと私は庭の端に、金魚のための小さいお墓を作った。

 ユウジは私が片腕になる前から優しかったけれども、事故に遭ってからはもっと優しくなったように思う。

  少し盛り上がった土の前で、大粒の涙を流す彼を右腕で抱きしめながら、私は、いつの間にか彼に恋をしていたんだと気が付いた。


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