【ユウジ】5

 一万人記念、ということで二人で隣町にあるテレビでも紹介されたおしゃれなカフェでお祝いをすることにした。

「ユウジはすごいね。もう一万人だよ」

 ハルカはパフェにスプーンを挿しながら話す。

「僕は何もしてないよ。ハルカの歌がすごいんだよ」

 彼女は、ユウジがいなきゃできなかったよと言ってくれる。ありがとうと一緒に、チェリーをひとつ、僕のケーキにのせた。


 

 心地よかった。

 小さい頃から、彼女が困ったときに手伝って、ありがとうと言われることが、心地よくて、涙が出るくらい嬉しかった。僕に何かをお願いするときのニッとする笑顔も、ありがとうという時の弾けるような笑顔も、僕は彼女がこの世に刻む笑顔の全てが、たまらなく好きだった。


 高校を卒業し、僕とハルカは同じ大学に通うようになった。

 僕は相変わらずサークルとかに入らず帰宅部だけれど、彼女は軽音サークルに加入した。見学の時に歌ってみてと言われて歌声を披露したとき、すぐに先輩数名からバンドを組もうと言われたらしい。

「あたり前じゃん。だって、あの『Haru』なんだよ」

 僕がそう言うと、ハルカはやめてよと言いながらも嬉しそうに顔を赤くして右手の指で鼻をかいた。

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