第7話

声が震えていた。


問い返したというより、


確認を求めるみたいな言い方だった。


彼はグラスを置いて、


少し目を伏せてから静かに言った。



「……不安なんよ。」


その一言には、


怒りも責めもなくて、


ただ本音だけが詰まっていた。



「付き合ってから、

プライベートで会うん減ったやろ。

店で会うことのほうが多くなって……」


言葉を選ぶように、


ゆっくり続ける。


「プライベートで会っても、

ホテルばっかやん。

それが悪いとかじゃなくて……

なんか、

俺のこと、ほんまに“彼氏”って

思ってくれてるんか不安になる。」



店の照明が妙に明るくて、


彼の表情が真剣なのがはっきり見えた。


胸が締めつけられた。


逃げ場なんてどこにもなかった。


私は返事をしようとして、


喉が詰まって、


声にならなかった。

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