第4話

「おはよう直樹、昨日はよく眠れたかい?」

「おはよう莉奈、ごめんね。部屋に入れてあげられなくて。大丈夫だった?」

「私のことは気にしなくていい。お金は生み出せるから、適当にキャンプセット購入して近くの山で

寝泊まりしてるよ。」

「お金を生み出せるの?神様とは思えないくらい

やりたい放題だね…。」

「とは言っても、私が今まで受け取ったお賽銭の

合計額までしか生み出せない。だから宿泊施設では

なくキャンプで節約しているんだ。それより、

昨日私から神力を引き出そうとしていたけど、

何かあったのかい?すぐに止まったからあまり

心配はしていないけど、何かあったら私を呼ぶんだよ。契約者の直樹とは思念伝達ができるからね。」

「別に何もなかったよ。それより思念伝達って、

昨日は人の心が読めないとか言ってたのに、そんな

ことができるの?あんまり心の中とか見られたく

ないんだけど…。」

「心配しなくていい。お互いが許可を出さなければ

思念伝達はできない。伝達したい時だけ、直樹とは

心の中で会話することができるんだ。」


許可を出さなければ、莉奈は心の中を覗けない。

そう聞いて安心した。何も無い時なら良いんだけど、俺はたまに心が酷くすさむことがある。

あんな感情を莉奈に見られたら…。哀れみなんて

向けられたくないし、自分が醜い奴だって気付かれたくもない。家族といる時の自分、友達といる時の自分、好きな子といる時の自分、同じ人間とは

思えないくらい、1人の人間にはたくさんの顔が

ある。そんなことは周知の事実だけど、いざそれを

見られると心底恥ずかしくなる。だから俺は家族でファミレスやショッピングモールに行った時、

友達を見かけても絶対に声をかけないし、どうにかバレないように願いながら過ごす。そんな感情、

神様には分からないだろうな。



「今日も1日元気にいけよ〜!それと、お前ら

ビックリかもしれないが、転校生の紹介をするぞ!はい!神野!教室に入れ!」

「初めまして、神野莉奈かみのりなと言います。よろしくお願いします。」

教室がザワザワしている。特に男子が騒がしい。

莉奈が可愛いからだろうか?俺にはずっと前から

好きな子がいるから、全く関係のない話だけど。

というか神野って、名字の決め方雑すぎるだろ…。

「神野も加わったことだ!今日は席替えするぞ!」

担任の中村が唐突に席替え宣言をした。これは

ビッグチャンスだ。浅井さんと隣同士になれば…

待てよ、莉奈に思念伝達して、神力で席替えの

クジ引きを操作すれば良いんじゃないか?どこかの

魔人だってクジ引きに細工して結果を操作したん

だし、莉奈もそれくらいのことはできて良いはず。『莉奈、莉奈!』

『なんだい直樹、登校中は思念の伝達に不満そうだったのに。』

『席替えはクジ引きで席を決めるんだ。神力を使って俺が引くクジをうまく操作できないかな?

浅井さんと隣同士になりたいんだよね。』

『そうか、直樹は浅井さんのことが好きなんだね。ならこの私が援護してあげよう。』


クジ引きの結果、俺は浅井さんと隣同士になった。内心めちゃくちゃ嬉しかったけど、平然とした顔で彼女の隣に座っていた。こんなところで一喜一憂

している場合じゃない。これはあくまでスタート。ここから俺のトークスキルで浅井さんを…。

ジロジロ見ているのがバレないように、できる限り頭は固定、眼球のみを極限まで動かして浅井さんを観察していた。席替え後に少しだけ会話してから、

彼女は何も喋らなくなっていた。いったい何が

あったんだろう。何かが彼女を落ち込ませている。

俺の浅井さんを悲しませる奴は、誰であろうと

絶対に許さない…。よく見ると彼女は斜め前方に

座る男子を見つめていた。さんちゃんだ…。

なんとなく知っていた。俺は平然とした顔を

保ったまま、目線だけ前に戻しておいた。

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器認定された俺、神の少女に契約を迫られる 太宰心美 @koishinkakemori

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