第2話

「家まで来てどうするの?俺の家族に見られたら

女の子を家に連れ込んでると思われるじゃん。」

「女の子を家に連れ込むと何かダメなのかい?」

「いや、、とにかく家の中では姿を消しててよ。

神様なんだからそれくらいできるでしょ?」

「申し訳ないんだけど、それはできないよ。人と

契約して実体化した神は、人と同じような存在に

変わる。一番厄介なのは、人と契約している神は

私から見ても神なのか人なのか区別がつかない、

ということだ。これが本当に厄介だよ。」

この神様は何も分かっちゃいない。一番厄介なのはどう考えても姿を消せないことだ。こんな同級生くらいの姿の女子を部屋に連れ込んで帰さなかったら親に何を言われるのか、神様には分からないのか?


「とりあえず俺との契約とか、君の目的とか、そもそも君の名前も聞いてないし。色々と聞かせてもらいたいな。家には行けないから公園で喋ろうよ。」

「私の名前か…人が適当に呼んでいるだけで、特に名前なんてものはないよ。別に欲しくもない。」

「あっ、あの神社に祀られてる神様を調べれば

分かるのか!家に帰ったら調べよっと。」

「そんなことしても意味ないよ。どの神社に

どの神がいるのかは完全にランダムだからね。」

「じゃあ俺が君に名前を付けてあげるよ。」

「君は畏れ多い奴だな。まぁいいだろう。」

神様の名前、何が良いかなぁ。普通に人前で呼べるような名前を付けた方が良いか。う〜ん、、

「よしっ、莉奈にしよう!」

「リナ?なんか、普通の名前だな…もっとこう

強そうな名前、シャイニングドラゴラムとか。」

「なんだよその名前。普通の名前にしておけば、

学校とか友達の前でも君を名前で呼んであげられるんだよ?俺の知り合いってことにできるし。」

「あっ、そういうことなのか。人の心が読めなくなってから、ちゃんと説明してもらわないと気持ちが分からなくなってしまった…」

「何を落ち込んでるんだよ。その方が楽しくない?相手の心は見えないけど、やり取りを重ねるうちに通じ合うようになっていける。初対面でもちょっとした気遣いとか、コミュニケーションの中で意外と人の心って読めるもんだよ。きっと莉奈もそのうち分かってくるよ。」

「そうかな…人の心を読まずに関わるなんて難しそうだよ。まぁ、それはさておき、私の目的を話しておこう。契約を結んだ直樹には知っておいてほしいことだ。」

そう言うと莉奈は、しばらく目を閉じた。これから真剣な話が始まるのだと分かった。


「直樹、さっきも言ったけど、私たち神と呼ばれる存在の神力は弱まっている。それはこの国の人々から、神に対する信仰心が薄れているためだ。満たされない中で信仰心は生まれない。じゃあどうすれば神はその神力を取り戻すことができると思う?」

「えっ、分かんないけど、信仰してもらえれば強くなれるんじゃないの?」

「その通りだ。ただ、普通はそこまで神を強く信じる気持ちはない。君のように熱心にお詣りしてくれる人がいても、ようやく少しの間顕現できただけ。もし君と契約できなければ私はしばらく姿を現すことができなくなっていた。それくらい全ての神の

神力が弱まっている。手っ取り早く神力を高めるためには、人と契約して、契約者が望むような力を

与え、思いのままにさせてやること。そうすれば

その契約者から圧倒的な信仰心を回収することが

できるから、神力も回復して契約なしで顕現できるようになる。ただ、誰とでも契約できるわけじゃない。神力を受け入れる器となるのは心、常人を超える心の強さが無ければ器にヒビが入り、あっという間に神力が溢れ出す。やがて暴走し朽ち果てる。」

「じゃあ莉奈は俺から信仰心を得るために契約したってこと?悪いこと企んでるんじゃないよね?」

「少し違うね。もちろん直樹から信仰心を得ることも重要だよ。でなきゃ願いを叶えてあげられない。だけど一番の目的は、人と契約した悪神を止めること。この街にいるんだよ、契約者が。だけどそこ

から先の情報はない。分かっているのはこの街で

神が顕現したこと、そして何者かと契約を交わしたということ。ここ最近のニュースは君も知っているだろう?誰かが神の力を悪用している。」

さっき莉奈が言っていたことを思い出した。人と

契約して実体化した神は、神なのか人なのか分からなくなる。そしてここ最近のニュース。一般男性が次々と不審な死を遂げているのだ。この街に実体化した神とその契約者がいる。俺たち以外に…。

「明日からは私も学校に行く。転校生として直樹のクラスに入るから、よろしく頼むよ。」

「えっ、急にそんなの無理だよ。どうやって」

「私は神だよ。転校生になりすますくらいはどうにでもなる。実体化した以上はそうするしかない。」

莉奈は笑顔で俺に語りかけた。見た目は確かに同級生に見えるけど、うまくやっていけるのだろうか。

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