第15話 15. 激突
「陽翔、君に出会えたことで脳がすっきりしたよ。
互いに魂の理からはずれた存在。
この仮初めの生に終止符を打つには、
本気の君に殺されるしかない。
互いに永遠を生きる存在、子孫を残すことは出来ない。
僕らの血が残ることも無いってことさ」
「互いに永遠を生きるから、
子孫を残す必要はないってことか」
互いに剣を打ち込んだ。剣同士が触れ合い、
激しい音がなった瞬間、既に二人は距離をとっていた。
「ブラッド、僕を待っていたということは死にたいんだろ。
なら、大人しく斬られろよ。僕は君を許す気はない」
ブラッドからくぐもった笑いが漏れた。
次第にその笑いは、嘲笑となった。
「無知とは幸せなことだな。
そんなにそこのエルフの娘が大切だったのか。
ソフィアが見たら嫉妬しちゃうぞ」
湧き上がる激情を必死に抑えながら、
ブラッドの隙を伺う陽翔だった。
「ほう。本当に成長したんだな。
感情に駆られて動くことがないな。
そのご褒美にソフィアの顚末を教えてやろう」
陽翔は無言だった。
ブラッドの一挙手一投足から目を離さなかった。
はた目にはそう見えたが、内心はかき乱されて、
戦うどころではなかった。
「ふふふ、あれほど気丈に振舞っていた彼女が
次第に弱音を吐くところは、久々に僕の気持ちを
興奮させたヨ。
ようしょう~ようしょう~助けてょぅ。
と泣き叫ぶ様から、次第に静かになって、
目の光が失われる様は、久々に興奮したぞ。
今は、何処かで喜んで男の慰みモノに
なっているだろうな」
「おおおおっ貴様は貴様は、仲間を!」
陽翔は、叫ばずにはいられなかった。
陽翔は狂いそうだった。全てを否定したくとも
目の前の現実がそれを否定した。
「貴様は、ブラッドは、闇に落ちた貴様は、死あるのみだ」
陽翔の剣は、正確にブラッドの頸があったところを
振りぬいていた。
「君の本質は、斥候だろう。
剣士のそれでは僕には届かない」
陽翔は、全力で剣を振るうが、それがブラッドに
至ることはなかった。
ブラッドが本気を出していなことを陽翔は感じていた。
「もっとだ!もっと僕の魂を削るように剣を振れっ」
ブラッドは陽翔を攻撃せずに防御に徹しているだけだった。
既に周囲は暗くなっていた。
あれほどのいた魔物たちは闇の中に消えていた。
学院生や引率の騎士たちも既にこの場にいなかった。
闇に響くのは二人の声と剣の打ち合う音だけだった。
打ち合いながら、陽翔は次第にブラッドの行動に
疑問を感じ始めていた。
ブラッドほどの実力があれば、この打ち合いの中で
陽翔に致命傷を与えることもできたはずだった。
陽翔は、一旦、ブラッドから距離を取った。
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