第2話 あしたから本屋

私はあしたから本屋を始める。


これまでに本屋で働いた経験はない。




パン屋でへとへとになるまで働き、身体が悲鳴をあげた。

学校事務で上司とケンカをして、椅子を隠された。

建築現場でいじめられて、心をなくした。


20世紀のこどもたちの多くは、40年間同じ仕事を繰り返す。

そうやって大人になってきた。

すごいことだと思うし、心底うらやましいと思う。


私にはできなかった。


私が悪いのだ。




(でも、そういう「時代」ってこともあると思う…)




21世紀のこどもたちは、どうだろう?


40年間同じ仕事を繰り返せるだろうか。


時代がそれを許すだろうか?


おとなたちの言う「大人」になれるだろうか?




(人それぞれという意見はあるけれど…)




次の仕事は土日休みだ。


次の仕事場ではニコニコしていよう。


次の仕事は誰にでもできる仕事らしい。




次は大丈夫。きっと続けられる。

私は信じて何十枚も履歴書を書いてきた。




でもダメだった。



仕事を続ければ続けるほど、自分自身が消しゴムのようにすり減ってゆき、

一定の時間が過ぎた後には、消しカスとその脱け殻しか残らなかった。




(なんで続けられないのだろう…)




自問しつつも、私はうすうす気付いていた。


なぜ、私は仕事を続けられないのかを。




好きではないのだ。


パンも、学校も、建物も。

元々興味がないのだ。

「不景気」とか「コロナ」とか「時代」を言い訳にして、

真剣に考えもせずに、なんとなく働いてきたからだ。




「好きなことを仕事にしたほうがいい」


ありふれた結論だし、私自身の経験としてそれを証明できるかは、明日にしかわからない。だから偉そうな大人みたいな言い方は嫌いなんだけれども、私は君にそう言いたい。


君と私がお互いに好きな仕事を続けられる時代を私は希望しているし、言っていることがむじゅんするようだけど、そういう時代が21世紀なのだと私は信じている。




最後に、最近読んだ小説のことばを紹介したい。




「未来はいつも面白い」

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