第6話
生来はカフェテリアでいつもの聖学院スペシャルカレーうどんを食べていた。このうどんのために学校に来ている、と言っても過言ではない。
うどんを食べている生来のテーブルに同席していた女子グループの一人、二宮透子が身を乗り出して尋ねた。
「菅野先生って、よく見るとかっこいいよね。男のスーツってかっこよさ倍増するし。ってか、大(ダイ)、菅野先生とどこで知り合ったの?!」
「えっ、生来、知り合いなの?!」
近くにいた男子たちも興味津々だ。
生来はうどんのスープを最後まで飲み干し、
「ごちそうさまでした!」
と手を合わせ、小さく頭を下げてから一言。
「俺ん家の数軒先に住んでるんだよ。」
「へぇ~」
と一同。
「家に遊びに行ってみた~い!」
女子たちが口々に言った。
聖学院は私立のため、教師が離任して他校へ移動することは滅多にない。そのため、もう何年も同じ顔ぶれの教師しかいないのだ。それ故か、27歳高身長で、体格の良い菅野は、女子生徒たちの格好の的だった。
透子の隣でニコニコしながらランチのフルーツサンドを頬張っていた本間真理が口を開いた。
「菅野先生って、生来のお兄ちゃんに似てるよね? 私、初めて見た時にそう思ったんだよね。」
生来の兄が海で亡くなったことは皆が知っていたため、その話に触れていいものか、その場に困惑が広がった。
生来が5年生の時に亡くなった兄。あれから8年が過ぎ、生来はもう兄の年齢を超えている。生来はその場の気まずい空気に居心地の悪さを感じ、立ち上がった。
「目は菅野の方がタレ目だな。」
そう呟くと、次の授業を受けるため、その場を後にした。
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