Smoke Gets In Your Eyes

時刻:火曜日の午後二時五十分

場所:会社の薄汚い喫煙ルーム

人物:男ふたり。煙草に火をつけるのが苦手なAとスマートにタバコを吸うB


A「だめだ。売り上げのノルマが達成できそうにない」

B「それはたいへんだね」

A「経理部はいいよな」

B「おれも去年までおまえの部署で働いていたんだけどな」

A「おまえはうまいことやってたからなあ。ああ、死にたくなるよ」

B「死んでもあの世に会社がないとは限らないぜ。また、ノルマに追われる日々が来るかもよ」

A「ずいぶん、ひどいことを言うじゃないか」

B「きみがばかなことを言うからさ」

A「でも、その調子で行ったら、天国にも地獄にも行くものじゃないかもしれないな。無だよ、無。無がいちばんだよ。死んだらきれいさっぱり、存在がなくなってしまう。それがいちばんいいなあ」

B「天国も嫌なのかい?」

A「もうなにかすること自体が嫌になったよ。だいだい、話に聞く限り、暇そうじゃないか。それが永遠につづくなんて、俺は嫌だね。それなら、きれいさっぱり、消えてしまったほうがいいよ。しかし、あれだなあ。なぜ、人間は生まれて来て、生きて行かなければならないのだろうな。何なのだろう。この世界の仕組み。欠陥だらけじゃないか。神様というのがいるのならば、どうして俺たちみたいなのを創ったのだろうな。神様がなにか失敗を犯したのかな。だったら、始末書の一枚くらい書けよな」

B「まあ、それだけ悪態がつけるのならば大丈夫だろう。もしいろいろとつらくなったら、さっさと病院へ行けよ。そこまで会社に義理だてる必要はない」

A「神さまにも?」

B「神さまにもさ」

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