ざわざわ
時刻:木曜日の午前十一時半
場所:新しいテレビドラマの発表会。そのごの立食パーティー
人物:顔見知りの業界人ふたり。AとB
A「なんか。ぱっとしないドラマだね。視聴率はのぞめないね」
B「そう言うなよ。この業界、なにが起こるかわからないんだから」
A「パーティーをしたはいいが、予算がなかったんだろうな。食いたいものがない」
B「だったら、酒でも飲んでいなよ。次はなにがいい?」
A「……もういいよ。それよりさ、おれ、この業界やめようと思うんだ」
B「なにさ、急に」
A「いや、前から考えていたことなんだよ。コンプライアンスが厳しくてさ、やりたいことがなにもできない」
B「そんなこと言ったら、他の業界だっておんなじことだろう。どこの世界もがんじがらめさ」
A「そうだね。そもそもの世界自体ががんじがらめだものねえ」
B「そうさ。与えられた場所で花を咲かせればいい」
A「花には咲き時と咲かせるに適した場所があると思うけれどね」
B「それはそうかもしれないが……、この世はとかく生きづらいね」
A「さいきん、年のせいかな。なぜ、生まれてきたのだろう。生きているのだろう。存在しているとはなにかと考えることが多い」
B「おいおい。枯れるにはまだ早いぜ」
A「それはわかっているんだけれど、なんだろうな。無性に気になるんだ。いろいろな本を読んだが、納得できる答えを出してくれた人はいなかった。哲学者っていうやつは、あんまり役に立たないね。とくに、私みたいな即物的な気のある人間には」
B「よくはないが、まあ、いいさ。今日ぐらいは飲んで、その考察とやらをひと休みさせなよ。次もジンフィズでいいだろう?」
A「ああ、ジンフィズでいいよ」
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