天気
時刻:不明
場所:阿修羅道(六道のひとつ。阿修羅のすむ、争いの絶えない世界)
人物:織田信長と今川義元が「桶狭間の戦い」について語り合っている。彼らのまわりには、「桶狭間の戦い」に参加した者たちが、ふたりを取り囲むように坐っていた
義元「しかし、あの豪雨にはやられたわ」
信長「はい。あの大雨さえなければ、私は負けていたでしょう。すくなくとも勝つことはなかった」
義元「それが天の定めということだったのだろう。人には運不運というものがつきものだ。私はそれに負けたのだ」
信長「たしかに、私は運が良かった」
義元「貴公は運が良かっただけではない。運を手に入れても使いこなせぬ者がほとんどだ。その中で、貴公は幸運の鳥を骨までむしゃぶりつくした。私はどちらかというと、その点を高く評価したい」
信長「東海一の弓取りにそう言われると、悪い気はしませんな」
義元「しかしだ。なぜ、生まれ落ちたものたちは、この運不運にこれほど人生を左右されねばならないのだろうかな。天は人になにをさせようとしているのだろうか。私にはさっぱりわからない」
信長「それは私も同じこと。お互い、精一杯の知力を尽くして生き抜きましたが、横死をよぎなくされました」
義元「天は、仏は、我々になにをさせようとして、この世に生まれ落させたのか。疑問だ」
信長「それが仏の摂理というもの。我々には理解しがたい目的があるのやもしれません。それか、もしくは……」
義元「もしくは?」
信長「天も仏も関係なく、川が上から下へ流れるように、人の一生はただ流れていくものなのかもしれません」
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