バーでの会話

時刻:水曜日の午後八時

場所:ホテル内の静かなバー

人物:バーテンと常連の客


常連の客「次はジンフィズをくれ」

バーテン「ジンフィズですね。かしこまりました」

常連の客「ところできみは死後の世界を信じるかね」

バーテン「さあ、どうでしょうかね。信じていると言えば、信じているし。信じていないと言えば、信じておりません」

常連の客「なぜ」

バーテン「さあ、なぜと言われましても。お客さま。鳥居や賽銭箱におしっこをすることはできますか」

常連の客「できないね」

バーテン「それは、たとえば神社の人や通行人に怒られるからですか」

常連の客「いや、それだけではない。なにかのばちに当たりそうな気がする」

バーテン「私もそうです。そして、それは、私もお客さまも、目に見えぬなにかを信じているからと言えませんか。科学で証明できない、目に見えないなにかがいる。ならば、すこし飛躍しますが、あの世だって、あるのかもしれないと思うときがあります」

常連の客「なるほど。言われてみればそうだねえ。墓石は、我々にとって、単なる石ではないからなあ」

バーテン「まあ、いいじゃないですか。あの世があろうがなかろうが。この世にいる間は、楽しくお酒を飲みましょうよ」

常連の客「それもそうだな。もう一杯、ジンフィズを頼もうかな」

バーテン「かしこまりました」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る