2章 2部「現状報告と悲しい報告」
シズクやミコト他数人が二人の帰還を出迎えた。
「まずは二人とも、無事に戻ってくれて良かったわ」
と、土間に上がった二人へ歩み寄り両手で二人を抱き寄せた。
安堵の表情を浮かべつつ報告に来た二人を労う。
「シズク様こそ、よくぞご無事で何よりです。道中は生きた心地がしませんでした」
とアカリも安堵の表情を浮かべた。
「申し訳ありません。肝心な時に、留守にしてしまったせいで無用な心労をお掛けしてしまいました」
とカエデは申し訳なさそうに、シズクのほうを見た。
「いいのよ、無事でいてくれて」
と許しの言葉をかけつつ微笑むシズク。
抱き寄せる腕にかかる力が少し強くなり頷いている様子を見て、安心したのかカエデも柔らかくなった。
その少し後ろからミコトも「二人とも無事でよかったです」と声をかけ、二人は微笑み返した。
再会を喜びそのままの姿勢でいたが、少しするとそれぞれは、離れて座った。
シズクを真ん中に、半円状に関係者が座っており、それに向き直る形でアカリとカエデが座っている。
「それでは二人とも。得た情報があったら報告してもらえるかしら」
「はい、まずは私からムタイ様との会談に関して報告をさせていただきます」
とアカリから話を始めた。
「ムタイ様は予定通り会談に臨まれました。そして、私兵を募っていないかという話になりそれに応じました。
しかし、その時に私の目となっていた使い魔を射抜かれました」
「射抜かれた。ということは、目であるとを見抜かれたかしら?」
「射抜いた弓兵は合図と同時に使い魔を真っ先に撃ち抜いたので、その可能性が高いです」
その言葉にシズクは苦虫を嚙み潰したような顔をする。
「使い魔がこと切れるまでの間までに見れたのは、ムタイを捕縛する指示と」
そして、言うのを少しためらった後
「ほかのものは殺せ。という指示まででした」
そうアカリは言った。
「それじゃあ、ユイトさんは……」
と、ミコトはアカリに聞いた。
「死ぬ瞬間は見ていない。が、脱出している可能性は低いだろう」
と暗に、生存は絶望であることを暗に示した。
ミコトは静かに視線を下に落とし、やがてポツポツと床に涙を落した。
そんな様子を見てカエデは、ミコトを宥めるために外へ連れ出した。
「それと、道中でムタイ様の屋敷が燃えているのも確認しました。
今回のシズク様の襲撃と連動したものと思われます」
「そうでしょうね、しかしどこからどれだけの情報が漏れたのか。
判断がつかないわね」
「もしこちら側のすべてが筒抜けだった場合は、
シズク様には国外へ逃れてもらうことを考えて頂かないといけません」
アカリはシズクの身を案じてそう言った。
しかし、シズクは暗にそれを否定する答えを返した。
「それは最後の手段だわ。今はまだ考えていないわ」
この答えにアカリはそれでも脱出を勧めた。
「しかし、最悪を想定するならすぐに行われてもよいと思います」
「まだ情報が集まっていないのだからそれはしないわ」
「しかし」
と言葉を続けようとした時に引き戸を引いてカエデが帰ってきた。
それにシズクが反応し会話を強引に切り上げた。
「カエデ、ミコトは?」
「まだ近くで泣いているわ。
けど、「一人で受け入れる時間が欲しい」と、言ってたから私だけ戻ってきたの」
「そう……」
カエデは土間に上がりつつミコトの様子を報告した。
そして、どこまで聞いてたのかは分からないが先ほどの話の続きをした。
「ちなみに私は、もう少し情報を集めてから脱出するかここに留まるかを決めたほうがいいと思うわ」
その意見に、アカリは怪訝な顔をしつつカエデに問うた。
「何故? シズク様が捕らわれたら私たちは終わりなのだぞ」
その答えに、カエデはこう答えた。
「判断は遅すぎても、早すぎてもいいというものではないわ。
今はまだ状況整理が大事だと、私は思うわ」
納得のいかない様子のアカリにカエデはこう続けた。
「それに、脱出するにしても安全な道はどこかわからないのでは無駄な危険を伴うわ。
情報の整理をしつつ、国外脱出路の探索も行う。というのが今の最適解化かと」
アカリはその意見に理解はしつつも納得はいっていない様子で、シズクの方を向いた。
シズクはその様子を見て決断を下し指示を出した。
「そうね。ひとまずは情報が欲しいわ。皆さん、各地の同胞への連絡をお願いします。
アカリとカエデ以外はこれで解散とします」
この会議に参加していた面々は各々が「承知しました」と言って去っていった。
シズクと指名された二人はその場に残った。
そして、その二人にはそれぞれ別の指示が与えられた。
二人は各々、「わかりました」と言ってそれぞれ別行動に入った。
シズクには一つの勘のような予測があった。
それが当たるか、外れるか。
外れれば何もないが、当たれば……私たちは窮地に立たされる、そう予感していた。
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