第3話 オーボエ、電車を止める
朝の通勤ラッシュ。
山手線はぎゅうぎゅう詰め、空気はカフェインと寝不足で出来ている。
そんな中、3号車に異変が起きた。
「ピーーーーーーーィィィィ!!!!」
耳を劈(つんざ)く高音。
一瞬、全員がスマホから目を離す。
立っていたのは、一本のオーボエ。
エアコンの風に揺れるリードを震わせ、焦った様子で叫ぶ。
「やばい!やばい!この電車……ピッチがずれてる!!」
運転士は困惑する。「……は?」
オーボエは車内の床をドンと踏みしめた。
「車輪の回転音、ブレーキ音、アナウンスのトーン、全部微妙にズレてる!
このまま発車したら……不協和音で車両が解体するぞ!!」
「だ、誰か! ピアノいない!?基準音欲しい!!」
最初は誰も信じなかった。
しかし、ヴィオラのサラリーマンが動いた。
鞄から音叉を取り出し、そっと鳴らす。
「……A=442Hz」
周囲がどよめいた。
「合ってない……この車両、A=438Hzで動いてる……!」
「それはヤバい……古楽器奏法じゃん……!」
駅員が駆けつける。
「どうされました!? 非常ボタンが押され……」
「この電車、音律が崩壊寸前です!!」とオーボエ。
駅員は一瞬戸惑ったが、何かを察したようにうなずいた。
「……指令室、こちら3号車。至急、調律班の派遣を要請。対象は、空間全体です。」
20分後。
バイオリンが電車の床に弓を走らせ、
チューバがトンネルの残響を整え、
ホルンが壁に向かって反射音のリバーブを調節。
そして最後に、オーボエが一音、吹いた。
「…………完璧だ」
ドアが閉まり、電車は静かに発車した。
その音は、美しいFメジャー。
🎵まとめ(もちろん意味はない)
• オーボエの耳は国家レベル
• 電車もチューニングが必要な時代へ
• 音律が合えば、社会も走り出す(かもしれない)
• 駅メロがマジでクラシックだったらこうなる
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