第4話 ユーフォニアム、餅を詰まらせる



元旦の朝、近所の神社で開かれていた餅つき大会。


列の最後尾に、ユーフォニアムが並んでいた。


金色のボディがまぶしくて、子どもたちに大人気。


「写真撮ってくださーい!」

「どこから音出るのー?」


とワイワイ騒がれているが、当の本人(本楽器)はやや緊張気味だった。


「……正月、初めてでさ。餅、食べてみたかったんだ」


ああ、なんて健気。


そしてついに、自分の番が来た。


つきたての、湯気の立つ白い餅。


それを一口、……いや一管、吸い込んだ。


「んぐっ……」


その瞬間、異変が起きた。


ユーフォニアムのベル(音の出口)から、何も音が出ない。


キーを押しても、息を吹き込んでも、「もごもご」しか聞こえない。


「おい、誰か! ユーフォが……餅で……詰まってる!!」


周囲が騒然とする中、フルートが通報、ティンパニが人工呼吸(なぜか地面にドン!ドン!と叩いてる)、

そして最後に現れたのは、バスーン(ファゴット)だった。


「どけ、これは“肺活量”の勝負だ!」


バスーンは深く深く息を吸い込み、ユーフォニアムのベルに向かって一撃の吹奏を放った。


「ボゴォォォ……!」


豪快な音が鳴り響き、同時に、餅がシュッ!と飛び出していった。


まるで新年最初の打ち上げ花火のように。


子どもたちが「すげぇーー!!!」と湧き立つ。


ユーフォニアムはごほごほしながらも、なんとか一命を取り留めた。


「……ありがとよ、助かったぜ。

でもさ、あの餅……うまかったんだよな」


バスーンは肩をすくめて笑った。


「次は、焼いてから食えよな」



🎍まとめ(もちろん意味はない)


• ユーフォニアムに餅は危険


• バスーンは頼れる肺活量ヒーロー


• 音楽家も楽器も、正月は油断しがち


• “吹奏救命”という言葉が生まれた瞬間かもしれない

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楽器紹介のためのメルヘン 枝吉 @74019813dendenmushi

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