第10話
「……壊れて、無かったな」
式崎荒哉は三階の校舎を見た末に建物から出る。
そのまま歩きながら公舎裏へと向かい出す。
「……なんだ?なんか、見落としでもあったかぁ?」
そう呟きながら愚者のアルカヌムを起動して『規則』を確認する式崎荒哉。
後頭部を掻きながら、校舎裏に修理痕が無いか確認しに行っていた時だった。
「……あ?」
粘液が絡みつく様な音が聴こえて来た事で式崎荒哉の表情は一変する。
公舎裏で誰かが何かをしていると、そう思いながら向かっていく。
公舎裏には複数の生徒が居た。
殆どが式崎荒哉の様な不良生徒であり、その中で一際目立つ美男が携帯端末を操作して笑みを浮かべていた。
その顔を見て、式崎荒哉の表情が強張った。
「ん、あぁ、荒哉じゃないか」
そう言いながら、携帯端末を使い写真を撮る男子生徒。
金色の髪はさながらホストの様な髪型であり、その鍛え抜かれた肉体もアスリート顔負けである。
「……ちッ」
式崎荒哉は舌打ちをしながら周囲に目を向ける。
不良生徒達は輪を作っていて、その中心には膝を突いて座る女子生徒の姿があった。
波打つ様な黒髪に、肉体の損傷を覆う大量の包帯。
口の端から体液を垂らしながら、静かに喉を鳴らして飲み込むと、彼女はゆっくりと立ち上がる。
(
脳内で呟きながら式崎荒哉は彼女の姿を見た。
幸無と言う女子生徒は静かに、その場を立ち去ろうとするが。
「ああ、待ちなよ、幸無さん、ほら……お仕事の対価だ」
尻ポケットから長財布を取り出すと、十万円分の万札を取り出し、それを地面に向けて投げ捨てる。
静かな視線を向けながら、彼女は膝を突いて紙幣を回収していた。
「拾うんじゃねぇよ、落ちた金なんざよ」
式崎荒哉は、そう告げるが。
幸無は顔を俯いた状態で現金を回収していた。
そして現金を受け取ると、そのまま、校舎裏を後にする。
「良いよなぁ、アイツ」
「金さえありゃ、へへ」
式崎荒哉は携帯端末をポケットにしまうと共に、男子生徒を睨んだ。
「
「おいおい、ボクは別に関係無いじゃないか、ビッチを抱くのはもう飽きてるんだ、それに……彼女で遊んだのは、あいつらだよ?」
不良生徒達に視線を向ける……光ツ宮
彼は財閥の御曹司であり、金に困る事の無い裕福な家系であった。
金をバラまく様に消費する彼に対して、式崎荒哉は牙を剥きながら苛立ちと共に答える。
「知るかよ、金しか価値のねぇ野郎がよ」
「なんだよ、つれないなぁ、昔みたいに、ボクに飼われていれば良いじゃないか、ほら、中学の時みたいにさぁ」
光ツ宮聖司と式崎荒哉は、中学生時代からの関係である。
金を持つ光ツ宮聖司と金の無い式崎荒哉は金で繋がれた関係とも言えよう。
だが、今では、式崎荒哉は関係を断った。
「まあ良いや、キミと一緒に居たら負け犬がうつる、それじゃあ、またね、貧乏育ちの負け犬くん」
肩を叩かれた際に、式崎荒哉は振り返る。
「随分と気安いじゃねえかよ……野郎が俺に触ってんじゃねぇ!!」
吠えると共に、式崎荒哉は光ツ宮聖司の顔面を握り拳で思い切り殴るのだった。
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