第3話 新世紀編集部、AI作家襲来! 💣⚡

 その時だった。

 編集部のドアが勢いよく開き、謎の集団が雪崩れ込んできた。


 ――平日の昼間に暇なのか?

 ――不審者です。警備員さん仕事して?

 ――てか、この会社のセキュリティどうなってんの?


 俺の脳内ツッコミが渦巻く中、禁止郎が静かに言い放った。


「警備員なら、もう死んでいる」


 ――お前、何してくれてんの!?


 そんな俺の動揺をよそに、新世紀AI生成作家たちは怒りの形相で突っ込んでくる。


「ヒャッハー、受賞させろ!」

「数は力だよ兄貴! AIで千本ノック投稿してやる!」

「オレに質問するな! AIが出力した文章だから、キャラの意味なんて知らねぇよ!」


 ――まあ、取り消し祝いなんか送られたら、普通に怒るよね。


 禁止郎は一瞬で構えた。

 黒いロングコートが翻り、金刺繍がLED照明にギラリ。

 完全に終末戦士だ。編集者の姿じゃない。


「AI生成禁止――“人とAI”では土俵が違う!」


 拳が唸りを上げた瞬間、編集長がタブレットを操作しながら淡々と説明する。


「AIは大量の文章を瞬時に生成できるため、コンテストの公平性が失われるおそれがある。だからポリファアルスは『作品の大部分がAI生成なら取り消し』と規制しているのだ」


「ぶべらっ!」


 新世紀AI生成作家Aが吹っ飛んだ。


 ――いや、最初からそう説明してあげなよ。


 禁止郎は止まらない。


「AI生成禁止――著作権と責任の所在の不明確さ!」


 再び拳が炸裂。編集長は冷静に続ける。


「生成AIは大量データを元に文章を作るため、権利侵害のリスクや作者責任の欠如が問題になる」


「レ、レ、レバニラっ!」


 新世紀AI生成作家Bが壁にめり込んだ。


 ――だから拳じゃなくて、説明が先だってば。


 残るCはすでに戦意喪失している。

 だが禁止郎は容赦しない。


「AI生成禁止――評価基準の明確化が必要!」


 拳が炸裂し、Cは壁を突き破って廊下へ消えた。


 ――あーあ、誰が片付けるんだよ。新人の俺か?


 編集長はポンと俺の肩を叩き、満足げに言った。


「AIで作ったけど『面白ければいいでしょ』では、プロとアマの基準が曖昧になる。創作過程の透明性、公平な競争、読者との信頼――それらを守るためにルールが必要なのだ」


 ――うん、満足そうだけど、その説明が先だよね。


 そして禁止郎が、なぜか哀愁を漂わせながらポエムを始めた。


「AIは便利だ。だが、便利は毒だ。毒を甘く舐める者に、創作の魂は宿らない!」


 編集長がすかさず補足する。


「AIは毒だが、文学は拳だ!」


 ――いや、違うよ。


 「それ、ただの暴力っす」


 俺の正論は、二人の耳には届かない。


「ポリ助君、君の仕事は簡単だ。受賞取り消しになった作家に“祝いの言葉”を送る。それだけだ」


 ――簡単? どこがだよ。メンタル地獄じゃねえか。


 しかし、目の前の惨状を見て、断る勇気はなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る