第4話 新世紀編集部、矛盾の祝宴 🎉💥

 クラウド上のリストを開いた瞬間、俺は息を呑んだ。

 そこには、憧れの作家たちの名前がずらり。

 そして――最後に、自分の筆名があった。


「……は?」


 声が漏れた。

 俺の応募作も、AI使用判定で失格になっていたらしい。

 どうやら受賞していたらしい。だが――


 ――おいおい、タグに「#AI補助」とか入れとけば良かったんじゃないのか?


 プロットは自分で考えたし、AIは校正と表現の提案だけ。

 むしろAIに任せるとキャラがブレるから、調整が一番大変だったのに。


 ――笑えよ、ポリ助。これ以上の皮肉はないだろ。


 俺は机に突っ伏しながら、祝いの文面を打ち込む。


「この度は受賞取り消し、誠におめでとうございます」


 ――何だこの文章。狂気の極みか?


 仕事なので、自分にも送らないといけない。

 そんな俺の心情を知ってか知らずか、禁止郎が背後で笑った。


「祝いとは、皮肉の最高形だ」


 編集長も静かに頷く。


「そして、皮肉こそが文学だ」


 ――いや、そんな文学観いらないよ。


 その瞬間、編集部の奥から怒号が飛んだ。


「編集長! SNSで炎上してます!」

「トレンド入りしました! #AI禁止 #文学の終焉!」


 モニターには赤い警告アイコン。

 タイムラインは怒りのコメントで真っ赤に染まっている。


 ――うわ、地獄絵図かよ。


 編集者たちは慌ててキーボードを叩き、謝罪文テンプレートを開いている。


「とりあえず“ご迷惑をおかけしました”でいいですか?」

「いや、まだ謝るな! 炎上は燃料だ!」


 ――何そのビジネスモデル!?


 修羅場の中、編集長はスマホを取り出し、さらりと言った。


「さて、DX促進のために新しいアプリ開発の相談を始めようか」


「AIを使えば、より正確で論理的な結論が出る」


 ――お前らはAI使うんかいっ!


 編集長はスマホを掲げ、満面の笑み。


「業務効率化だよ、ポリ助君。ペーパーレス化、クラウド管理、そしてAIチャットで問い合わせ対応!」


 ――いや、AI禁止って言ってたよね?

 ――何のために? どういう理屈で??


 編集長は胸を張る。


「DXは未来への投資だ。スピード、利便性、そして競争力の確保だ!」


 ――いや、便利になるなら……まあ……

 ――いや、よくないだろ! どの口が言ってんだよ!


 禁止郎が拳を握り、意味不明な名言を放つ。


「AIは毒だが、業務効率化には薬だ!」


 ――いや、矛盾の極みかよ。


 俺は悟った。

 ここは新世紀。AI生成作品が禁止された世界。

 そして俺は、その世界で“祝い”を届ける狂った使者になる――

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