第39話 斎藤道三の悲報と小田原城・婚姻同盟


​1555年10月


美濃・長良川


史実より1年早く、運命の濁流が斎藤道三を飲み込んだ。


「親譲りの愚か者が……!」


道三の罵声も、息子・斎藤義龍の叛逆の炎には届かない。


夜襲で始まった戦。

義龍の電撃的な奇襲により、追い詰められた美濃のマムシ。


『婿殿(信長)……美濃の行く末、頼みましたぞ……』


駆け付けた古参兵士の一族郎党が耐えに耐え、良く凌いだが多勢に無勢…午前中に道三の首が上がるという、あまりに無慈悲な決着を見た。



​同刻、相模国・小田原城


信長の命を受けた柴田勝家は、北条氏康と会談していた。


柴田勝家

「。。。。。。と言うことにて。年齢的にも釣り合いが取れ、良き縁かと思いますが如何でしょうか?」


北条氏康(相模の獅子・40歳)

​「それはそれは、かねてから望んでおった婚姻。織田殿と争う気は無いのでな。

柴田殿、我ら北条家は上洛の意思を持たぬ家柄。西へ向かう事は無い故に此度の縁談、喜んで受けよう。」


北条家の本音

『助かった……尾張丸の艦砲射撃を受ければ、この城も小田原の町も瞬時に焼き尽くされ灰となる。この縁談まさに渡りに船だ……』


アイリス『勝家くん。北条氏康もホッとしている、分かりやすいわwでも現実的な判断ができる名君よね。』


『ああ。織田が後方の防御壁となれば、関八州に全力を向けられる……何より我らに滅ぼされずに済んだな。』


婚姻の儀として、信長の実弟・織田信勝(16歳)に、氏康の娘であり絶世の美女・早川姫(後の蔵春院・15歳)が嫁ぐことが決定した。


信忠(2歳)が成人するまで待てぬ信長が、駒として弟を使ったのである。


*****

史実で早川殿は1554年今川氏真に嫁いでいますが、1548年に今川の駿河国は柴田勝家の領土となっています。

*****


​ここに、織田家と北条家の軍事不可侵同盟が成立。


「我ら織田家は西と北へ向かいます。関八州は北条家で存分になされませ。」


北条 幻庵げんあん(55歳)

「柴田殿。7年前、織田家に信濃を奪われ甲府1国だけとなった武田信玄であるが最近、兵の数を整え1万以上に達したとの噂がある。如何見ていますかな?」


「織田でもその情報は掴んでおります。7年前に比べ兵数は半分以下、それより当家との戦で有能な指揮官を多数失いました。とても少数精鋭とは言えませぬな。」


北条氏政(17歳)

「織田家には馬場信春殿、山県昌景殿と、かつて武田家の優秀な武将が人質として居られるのですよね。」


「ええまあ。あの2人が当家に居る以上、信玄公は両腕をもぎ取られたも同然ですな。」


氏康「その1万の半数が最近、武蔵国周辺で軍事演習など行っておる。その度に此方も兵士を出し警戒せねばならん……全く持って迷惑千万じゃ(苦笑)」


「ふむ。駿府から穴山の領土はさほど遠くない。国境警備の軍勢を置いてますが、同盟を結んだ結納品の1部として攻め込みましょう。」


氏康「それは真であるか!」


それがしが兵を率いましょう。」


幻庵「有りがたい事なれど、信長公の許可は下りますかな?」


「遠江・駿河の国境紛争に関しては、好きにせよと一任されております。此度の婚姻同盟の話も、北条家とは末長く親戚付き合いしたいと申されました。」


氏康「おお、日ノ本一心強い親戚じゃ(笑顔)実のところ、八王子方面から増援の申し出が来ましてな。その意味でも此度の同盟は大事だと思っておるのだ。。。何卒信長公には、よしなに。」


「はっ!1度尾張へ婚姻同盟の報告に戻り、そのあと軍備を整え下山館に攻め入りましょう。来月中には柴田軍で実効支配します。」


氏康「言うこと無しじゃ!ささっ柴田殿、宴席の準備が整った様だ。御家中の方々もどうぞ、今宵は祝言の前祝い存分に飲みましょうぞ!」


氏康『目障りな穴山梅雪の領土まで侵攻してくれるとは、本当に助かった。柴田勝家、絶対に機嫌を損ねてはならん!お・も・て・な・し、じゃ~』


『浮かれてるわね~氏康さん。よほど勝家くんが気に入ったようね。』


『信勝の嫁御の実家だ。仲良くなるに越したことは無い。』


北条家との同盟に関しては万事上手く行ったのですが。。。



翌朝。高速輸送戦艦で尾張に帰還する船内で、勝家とアイリスの脳内では、信長のとしての怒りのが爆発していた!


​『ぐぎゃぁぁぁ!!道三が死んだ!……義龍め、俺の『身内』を殺した罪、その命で購わせてやる!』


『人の発する怒りじゃないわね』


『……またキャンセルされた……アイリスがやっても駄目か?思想の導き、深層心理へのアプローチとやらだ。』


『それは直接干渉だから無理なの。仮に許可が出ても相手は第六天魔王……私1人ではキャンセルされる……』


『俺と2人なら?』


『残念だけど…彼はもうそんなレベルじゃ無いわね…』


『そうか、となるとマムシの弔い合戦だな。まあこれは殿に大義がある。』



​信長はすぐさま、勝家・佐久間信盛・森可成らに尾張の精鋭3万を持たせる。


「勝家!お主が尾張へ置いてある柴田銃3万挺、全て持っていく!義龍を蜂の巣にせよ!」


そこに、かつてない光景が現れる。

勝家が製作した「石油発動機」搭載の軍用移動トラックが、泥を撥ね、黒煙を上げて美濃へ突き進んだ。


信長​「突撃せよ! 抵抗する者は、草木一本残さず焼き尽くせ!!」


柴田銃3万の銃声が美濃の空を切り裂く。


わずか1日で多大なる犠牲者を出し壊滅した義龍軍…

美濃は「織田直轄地」として飲み込まれた。


​その混乱の中、勝家の前に一人の少年が現れる。


『ん?……実戦を知らぬのか?だが何と不思議で無慈悲、しかも全てを見越す力を感じる。アイリスこの少年は?』


『戦乱の世だからこそ生まれた傑物ね……保護して勝家くん。きっと凄い参謀になるわよ。』



竹中半兵衛(11歳)

後に天才軍師と呼ばれる少年は、勝家が持つ「未来の兵器」を、畏怖の眼差しで見つめていた……

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