第38話 柴田勝家・極秘プロジェクト(遠江・相良油田)
1555年8月 遠江 相良
遠江の地下深く……アイリスが勝家に【移植】した未来知識と製造技術により、極秘地下格納庫が完成していた。
岩盤をくり抜いた巨大なエレベーターが、石油発動機の鈍い音と共に下降する。
到着した最下層。そこには、信長が夢にも思わぬ未来が鎮座していた。
『もし殿が道を誤り……民を、そして子供達の未来を焼き尽くそうと動いたなら……儂は、この格納庫の武力で殿を止める』
①M16アサルトライフル(1万挺)
柴田銃を遥かに凌駕する連射力。
②30km射程キャノン砲(500門)
視界の外から敵陣を消滅させる神の雷。
③高性能ガソリンエンジン
焼玉エンジンを嘲笑う、高回転・高出力の心臓。
④最新型戦艦(柴田丸&お市丸)
鋼鉄の装甲を纏い、これら全ての火力を搭載する海上要塞。
最近の信長は、重臣を集めた評定の最後に必ずと言って良いほど
「俺が神だ!俺を崇めろ!」
と咆哮する……
思考に第六天魔王のノイズが激しく出始めたのが6年半ほど前。
その頃から勝家は、遠江の地下深くに「審判の力」を隠し持つ準備を始めていた。
M16の銃身が冷たく光り、火薬・弾丸等々の製造工場が並ぶ、火気厳禁の地下工場。
それは謀反のためではなく、狂える魔王から「真の天下」を守るための聖域だった。
『もし、信長様の心の全てが第六天魔王に覆われた時、奇妙丸(信忠)他、織田の血筋をどう守り抜くか…』
『先ずはこの地に身を隠し、尾張丸を沈め制海権を取る。初手はそれでしょうね……でも勝家くん、あなたに出来るの?相手は赤子の頃から守ってきた、織田信長よ……』
『そうならない為に、これからも助言・苦言をして、敵対勢力が出てきたら即座に相手大将を爆撃する。それで民百姓に戦火が拡散せぬ様、手を尽くすしかない。』
そして2人の切り札、最新型戦艦(柴田丸&お市丸)の前に立つ。
『まさに地底に潜む覇王ね…圧巻だわ。』
『遠江・駿河の民達と、甲斐から逃亡してきた者を総動員。6年以上かけてやっと完成した…もう1度やれと言われても無理だ…』
『あら?私の図面と素材作成技術に設備の投資。その移植がないと無理だったでしょ(ニッコリ)』
『当たり前だろアイリス。何をどうやったのか?儂だって覚えてない(苦笑)』
『勝家くんをゾーンに導いたからね。かなり問題視されたのよ神の世界で。相手が第六天魔王だから渋々許可が下りたわ。』
『感謝している。だが信長様相手に操船したくないがな。』
『そうならない未来が訪れます様に。じゃあ私の言う通りに動かして。』
【極秘:戦艦柴田丸「水門式」進水プロセス】
勝家は「水門式」エレベーターのスイッチを押す。
山中の地下深く、石油発動機で動く巨大な排水ポンプが唸りを上げると、地下ドックが開いた。
遠江の
鋼鉄の巨艦「柴田丸」
まるで眠りから覚めた龍のようにゆっくりと浮上し、海面と同じ高さまで持ち上がる。そこから極秘の運河ルートへと繋がる。
崖を偽装した巨大な水門が開くと、水飛沫と共に外海へ滑り出して行く。柴田丸、海へのテスト回廊が始まった。
霧を裂いて現れる漆黒の戦艦の姿。
『ホント龍ね、海の支配神ポセイドン様に怒られそうだわ。』
『その者はアイリスの友なのか?』
『ううん、私はネプチューンと仲良しだから、どっちかって言うと敵対してるw気まぐれなのよポセイドンは…』
『……そうか、アイリスも苦労してるんだな。それにしても美しいな戦艦柴田丸。』
その甲板には、射程30kmを誇る最新鋭艦載砲が静かに牙を研いでいる。
『そうね。でも、この子(船)を動かすのは信長公の「破壊衝動」じゃない。勝家くんの日ノ本を「守る意志」よ。』
勝家は、アイリスから移植された知識の結晶……高性能ガソリンエンジンのシリンダーを完成させた時を思い出す。
焼玉エンジンとは比較にならないほど精密に削り出された鋼の肌。
『信長様は、上洛(京へ上る)の意向を持っている。三好長慶を叩き、
勝家の脳裏には、1万挺のM16アサルトライフルを背負った柴田軍精鋭たちの姿があった。従来の「柴田銃」すら最早、
『アイリス。俺は謀反を望んではいない。だがもし殿が、奇妙丸の歩むべき国まで焼き尽くすというのなら、俺はこの柴田丸を、水門から解き放つ……』
『勝家くんが、そんな決断をしなくて済む様な未来になると良いわね……』
畿内では三好長慶が傀儡の将軍を弄び、天皇が写経を売って飢えを凌いでいる。
だが勝家の本拠地・遠江の地下深くには、世界を変える「未来工場と鉄の鼓動」が充満していた。
もし信長が無慈悲な第六天魔王に成り下がった時、勝家とアイリスは共に、地底から新たな
【極秘建造:超弩級装甲戦艦・柴田型スペック】
遠江・相良の地下ドックに静かに眠る戦国最強、いや世界史を塗り替える2隻の怪物。
艦名
戦艦柴田丸(1番艦)
戦艦お市丸(2番艦)
全長・幅
263メートル(戦艦大和型に準拠)
39メートル( 〃 )
排水量
基準65,000トン
動力源
アイリス式・低圧大トルク型・多段高圧ガスタービン(ガソリン・軽油混焼)
速力
最大速度・63km/h(34ノット)
巡航速度・50km/h(27ノット)
出力
160,000馬力
航続距離
30km/h(16ノット)航行時
15,000km
兵装
30km射程・3連装46cm艦載キャノン砲・3基(計9門)
30km射程・単装15cm艦載キャノン砲・10基(計10門)
M16の技術を応用した精密なライフリングが刻まれており、水平線の彼方の城郭を一撃で消滅させる。
M16改・20mm多銃身機銃
対近接用。1分間に300発の弾丸を撒き散らす。
装甲
特殊鋳造によるアイリス鋼。超軽量素材だが、火縄銃や大筒はおろか、織田軍の最大火力・16km射程キャノン砲の攻撃も弾き返す不沈戦艦。
遠江の
それを更に精製し、爆発的な噴流へと変える。
『何より最高純度のケロシン(ジェット燃料)を取り出す設備が、巨大な蒸留塔が数本程度で済むのが魅力的よね。大規模化学コンビナートが不要なんて、勝家くん!相良油田に足を向けて寝れないわよ。』
『確かにな…世界中の軍隊が必死に火薬を調合している間に、我ら柴田軍は静かな精製所で、琥珀色の液体を最高純度のケロシンや軽油に精製している。
超高回転タービンを回すのが可能な燃料……アドバンテージも甚だしいな。』
1555年に戦艦大和が2隻、まさに神の如き力。
この圧倒的な「力」を背景に、勝家が織田家を守り、真の平穏をどう築くのか……
何れにせよ
戦国時代の海における絶対的なスピード王になる事は間違いありません。
*****
多銃身(ガトリング式)なら1分間に3,000~6,000発も可能。
だが流石に1555年の弾薬生産能力では追い付かず
『毎分300発に抑えて、弾の無駄遣いを防ぐ』
という勝家の合理的な設定となっている。
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