第35話 風林火山の終焉。。。


1548年 4月


正面から突撃してきた甘利軍・穴山軍の先鋒騎馬軍団4千を、火力で全滅させた柴田勝家。


左右から迫る武田信繁軍3千・山本勘助軍3千に対して、迫撃砲の雨を降らせる選択をする。


「迫撃砲用意。。。放て!」


ヒューーーーー

​ドォォォォォンッ!!!


ヒューーーーー

ドォォォォォンッ!!!


それはアイリスの計算を受けた勝家が、迫撃砲部隊に角度を指示、精密に誘導された榴弾の嵐である。


空気を切り裂くヒューーー音の後、爆風が土塊と鋼を巻き上げ、一瞬で数百の命が塵と化した。


砲弾を受け爆死した馬から投げ出された、武田典厩信繁。


「ぐうぅぅぅ………」

落馬でしたたかに頭を打ち付け、気を失う。


勝家「殺すな!捕らえて城内へ連れて来い!」


アイリス『信玄公の実弟。何かと使えるわね。』

【武田信繁・捕縛】



混乱する戦場に迫撃砲の合間を縫って、山本勘助が馬を飛ばす。


​「退くな! 突撃だーー!」


だが彼の眼前に現れたのは、柴田軍の狙撃兵が構える新柴田銃(アサルトライフル・M16)の銃口だった。

タタタタタタタタッ!!


​種子島とは比較にならない連射速度と殺傷力。


勘助は蜂の巣にされ、泥の中に沈んだ。軍師の知略が、未来の火器に敗れた瞬間であった。

【山本勘助・戦死】



​「そろそろお引き取り願うか」

​勝家はニヤリと笑うと冷静な声で命じた。


「迫撃砲500門、武田軍次鋒へ砲撃開始。キャノン砲100門、目標・武田軍本陣!遠慮なくぶちかませ!」


『えっ!勝家くん本陣って?信玄公を殺っちゃうの?』


『……俺を試してどうするアイリス?信玄は兵糧のあった場所より更に1km退いた。いま本陣に居るのは影武者だ。知ってる癖に人が悪いぞ……』


『あら勝家くん。指揮を取りながら信玄公、心の声を把握するなんて器用ねwそれとワタシ人じゃないのよ(ウフッ)』


『はいはい。。。。。』


勝家の号令に高天神城の城壁後方から、無数の火線が武田軍へと殺到する。


​ズドドドドンッ!!


迫撃砲とキャノン砲が一斉に火を噴き、武田軍の密集した次鋒・三鋒・そして本陣めがけて雨あられと鉄の砲弾を降らせる。


着弾した砲弾は、地を抉り、土砂を巻き上げ、馬と兵士を容赦なく吹き飛ばしていく。


「ひ、ひぃぃぃっ!!」

「うわあああぁぁっ!!」

「おっかあーー!」


馬のいななきと足軽兵士達の悲鳴が、阿鼻叫喚の地獄絵図となって広がる。

『どれ、信玄公に会ってくるか。』


『面談って大事よね。』


「柴田銃部隊2千!騎馬鉄砲隊へ改編!全員、防弾防刃上下服とブーツ・ヘルメットを着用しろ!

目標、武田本陣の後方!そこに信玄がいる!」


砲撃を受け総崩れになった武田軍の真ん中を、2千の騎馬鉄砲隊が突き進む。


「逃走兵に構うな!信玄の元へ急ぐぞ!」


勝家の号令に一直線に駆け抜けていく。


その間も自軍を避けた、迫撃砲の追撃は止まらない。


「くっ……くそぅっ!これほどまでに差があるのか!」


信玄は迫撃砲の爆風で舞い上がる土煙の中、叫んだ。


「全軍退却せよ!昌景、信春!殿しんがりを務めよ!」

厳しい爆撃に信玄の指示も虚しく、鍛え上げられた武田軍の兵ですら、ただ混乱するばかり。


彼らは何が起きてるのか理解する間もなく、次々と迫撃砲に体をバラバラにされていた。


​山県昌景

「弓すら届かない……これでは一方的な殺戮さつりくではないか……!」


馬場信春

「御屋形様、殿を務めようにも儂と山県の軍勢も総崩れ、陣を守っている兵数は100人に満ちませぬ!急ぎお逃げ下され!このままでは全滅です!」


「く、くそぅ……!柴田権六……これが戦か? 槍も合わせず、顔も見えず、ただ山が火を吹き、我が精鋭が消えていく……」


信玄は奥歯を噛み締め、悔しさに顔を歪めた。


これまで幾多の戦場を、その智謀と武力で駆け抜けてきた甲斐の虎が、初めて味わう完全な無力感だった。



​そこへ土煙をあげ、見事な隊列を組む2千の柴田・騎馬鉄砲隊が追い付き、信玄ほか重臣達と親衛隊を取り囲んだ。


「信玄公とお見受け致す。親衛隊は武器を捨て両手を挙げろ。従わぬのなら撃ち殺すのみ!」


カチャ!カチャ!


300人程の武田軍に2千の銃口が向けられた。


「皆…もう良い…言われた通りにせよ…」


力なくその場に座り込む信玄。


「織田の火力の前には風林火山すら児戯に等しい。だが我ら、これ以上 悪戯いたずらに武田兵の血を流すつもりはない。」


勝家の言葉に頷きながら

「儂の首を信長公にもって行くが良い。お主の手柄と致せ。」


勝家は首を横に振ると

「停戦の条件は2つ。馬場信春・山県昌景の両名を捕虜として尾張へ連行する。

それと武田家が奪い取った、南信濃地方の諏訪郡と伊奈郡を織田家へ割譲する事。」


「何だと!!馬鹿にしておるのか?!」


勝家は側近から槍を受け取ると


シュッ!


目にも止まらぬ速さで突きを見せ、喉の下に寸止めした!


「武田家両職の1人、板垣信方いたがきのぶかたであろう。このまま首を刺し貫くのも一興だが…」


「っつ、言わせておけば…(汗)」


「止めい!板垣控えよ。我らは敗軍の将である。しかも今の槍の速さ…勝ち目は無い…諏訪と伊奈は織田にくれてやろう。断れば軍事侵攻するのであろう…これ以上死者を出せば甲斐が持たぬ…」


「ではこれに署名して貰おうか。」


勝家が割譲文書を取り出す。


「…用意周到であるな…」


信玄の署名花王の文書を受け取ると


「織田軍は4月下旬、南信濃に赴く。その時、引き渡しの武田兵士は100人以内とする事。もしそれ以上の兵の存在を確認すれば、皆殺しにする。」


「分かっておる…南信濃は引き渡す故、馬場と山県、捕虜の件は容赦願いたい。」


「ほお…良いのか?それだと弟君1人で尾張へ連行されるが?」


「なっ?!!次郎(信繁)は生きておるのか?!!」


「ああ、落馬して頭を打ち気を失っていたが、先ほど意識を回復し元気にしておる。案ずるな甲斐武田家当主の実弟。粗末には扱わぬ。」


「あいや待たれい、人質なら儂が尾張へ参る。故に典厩様だけは甲斐にお戻し下さいませ。」

馬場信春が頭を下げた。


すると同じく山県昌景も

それがしも尾張へ参りまする。信繁様だけは何卒何卒!御容赦願いたく。」


信玄「お前たち……」


アイリス『了承して勝家くん。馬場・山県2人が手に入るのは大きい!』


勝家「……良いだろう。馬場・山県両名は尾張へ連行する。弟君を連れて甲斐へ戻るが良い。」



2万で攻め込んだ武田軍。死者1万2千、負傷者4千、行方不明3千人。


死者の損耗率60%は、組織としての機能が完全に崩壊という判定になる。


甲斐は今後の軍備において、極めて深刻な状況に陥ってしまったが後の祭りである。



1548年2月

史実で武田信玄は、北信濃・村上義清との上田原の戦いで、自身初の敗戦を喫する。


この世界線では4月の高天神城攻めを控え、その合戦は行われなかった。

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