第26話 覇王の婚礼、尾張に昇る太陽
【巨星落つ…諸国の反応】
尾張の虎が眠りについたという報は、すぐさま駿河の今川義元、甲斐の武田晴信へと飛び火した。
武田信玄(甲斐)
「織田の火力、そして柴田勝家…面白いのお~乱世の理が変わる時が来たのやも知れぬ。
だが信秀死すとは…化け物の親玉がいなくなった今こそ、尾張の『宝』を奪い取る好機よ(ニヤリ)」
斎藤道三(美濃)
「信秀が死んだか。婿殿(信長)は良いとして、あの柴田勝家という男…城を一夜で消滅させる艦砲射撃…雷を操るが如しである。今は婚姻同盟を遵守し動くべきではない…」
今川義元(駿河)
「太原雪斎を失い、曳馬城まで消された…織田軍・特に柴田勝家軍は人の軍ではない。次は高天神城であろう。遠江の軍勢が壊滅した今、全軍を駿河国境・大井川東岸まで退かす他あるまい…」
「尾張の虎この世を去るか…うつけの嫡男より、火力奉行の柴田勝家、あやつを何とかせねば…」
長野氏(中部伊勢)や関氏&北勢四十八家(北部伊勢)等は沈黙を守り、織田の動きを注視していた。
1547年(天文16年) 10月末
信秀の49日法要を終えた織田家は喪中ではあるが、
「信秀の遺言を即座に実行し、織田の団結を諸国に見せつける!」
という信長の強い意向により、柴田勝家とお市姫の婚礼が執り行われる事となった。
場所は信秀の生前から新築工事を進め、先週完成した末森城。
アイリスの技術指導によって
勝家は、城壁をコンクリートで補強。夜には試作型の「アーク灯」が城郭を白昼のように照らし出す、戦国時代とは思えぬ異様な光景を醸し出す。
【豪華絢爛なるパレード】
柴田勝家は、新たに開発された織田の黒光りする新兵器「蒸気装甲車」に乗っている。
その隣には「戦国一美しい」と称されるお市姫が、白無垢にアイリス特製の絹のレースをあしらった豪華な衣装で並ぶ。
沿道には尾張中から数十万の民が集まった。
「柴田様!お市様!万歳!」
「織田家は不滅だ!」
勝家がアイリスに教わり、この日のために急ピッチで完成させた有人気球(地上の蒸気装甲車とロープで接続、飛行方向を誘導する)
それに乗った柴田家直属の忍び衆が、上空から色とりどりの紙吹雪と、民への振る舞い菓子を投下させると、大衆の熱狂は最高潮に達した。
披露宴の席で信長は、上座から満面の笑みで勝家を見下ろした。
「柴田権六勝家!年齢的には逆であるが、今日から貴様は儂の義理の弟だ。儂のことは三郎と呼ぶが良い。儂の背を預ける唯一の男として認めてやる。カカカカカw!」
信長は信秀の遺言通り、勝家を「筆頭家老」の枠を超えた織田軍唯一の「元帥閣下」として扱うことを宣言。
また自らは新築なった末森城へ移り、勝家に那古野城と7万石の加増を与えた。
これにより柴田勝家は10万石の扶持と那古野城主となり、織田家中で信長に次ぐナンバー2としての地位を、不動のものとする。
当時の尾張全体の石高が約50万石と推定されるため、実にその2割を勝家に与えた意味は大きく、信長の信頼度が裏付けされている。
【アイリスの贈り物】
アイリスは勝家に頼まれ、常にお市姫の傍らに控える(勝家以外には見えない)護衛役を勤める事となった。
とは言え一瞬で地球の裏側にも移動可能なので、ほとんど今までと変わらないが。
『勝家くん見て。お市様、本当に幸せそう。主神ゼウス様に特別許可を得て、那古野城の地下に巨大な「発電機」と「浄水システム」を完備しておいたわ。
勿論トイレもウォシュレット付きの最新型。これからは、お市様を戦国の不衛生から守る!完璧な新居になるわよ。』
『いやそれ、殿(信長)の耳に入ったらヤバく無いか。自分を差し置いてとかキレるだろ。』
『そこは大丈夫よ。何時もの様に勝家くんへ、知識と技能を直接移植するわ。材料・部品・工具、既に末森城倉庫に用意しているから、近々に出向いて完成させましょう、私も手伝うわ。』
『……それは構わぬが、下水処理をどう説明するんだ。俺の屋敷の時の(謎の空間に自動的に収納される)なんて言ってみろ……その収納システム、軍事侵攻の小荷駄部隊の輸送に使うと厳命されるぞ!』
『既に掘り終えたでしょ。勝家くんが人夫を使って下水溝作らせたでしょーにw』
『あれはアイリスの図面通りに作らせただけだ。突貫工事だったので、流石に全ての詳細までは把握していない』
『まあ心配しないで、ちゃんと今の人間でも知識と材料さえあれば、可能な作りにしているから。さあ末森に連絡して日程を決めて。』
『…まったく…新築記念のサプライズとでも言い訳しておくか…新しもの好きだから狂喜乱舞するだろう…』
予想通り狂喜乱舞した信長(笑)
褒美として、尾張国内の収益(売上税等々)の2割を、評定を通さず勝家の独断で投資する采配を許可された。
これは商業交易が大発展を遂げ、経済成長著しい尾張国にとって、10万石の米を貰うよりも遥かに恐ろしい金額である…
【諸国への示威】
この婚礼には、近隣諸国の使者も招かれていた。
斎藤道三の使者
「夜に光り輝く城、馬のいらぬ鉄の車…織田はもはや、神仏の加護を得たのか…」
武田信玄の使者
「甲斐とは何もかもが違う…まともにぶつかれば到底勝ち目は無い…だが、それを言えば儂の首が飛ぶ…(汗)」
今川の密偵
「もはや戦で勝てる相手ではない。義元様には『婚姻による和平』を進言するしかあるまい…」
盛大な花火が尾張の夜空を彩る中、勝家はお市の柔らかな手を強く握り直した。
『義父殿…見ておられるか。俺は、お市と信長様を支え、この国を真の天下へと導いてみせる!』
信秀の死という悲しみを乗り越え、織田家は柴田勝家という最強の矛を、お市との婚姻で手にした。
これからの進化は第六天魔王次第ではあるが……
これにて第1章終了です。
明日から第2章
【覇王と第六天魔王】がスタートします。
評価の★★★と作品フォローは執筆の励みになりますので、何卒宜しくお願いします。
m(_ _)m
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